内容説明
本書は、憲法学研究の第一人者が、戦後と明治、新旧二つの皇室典範を爼上に乗せ、制度としての天皇制の形成過程とその基本的性格を歴史的に検証、法解釈学的な評価を試みる考察である。昨今の表層的な「女性天皇」容認論や「皇室の民主化」論において見落とされがちな、日本国憲法下の天皇制そのものの本質的な矛盾を徹底的に問い直し、その先を展望する。
目次
第1部 戦後皇室典範の制定過程―今日的課題の源流(「皇室典範的なるもの」への拘泥―皇室典範の基本的性格をめぐって;「天皇の退位」「女帝」「庶出の天皇」―皇室典範の各論的考察)
第2部 明治皇室典範の成立過程―「近代化」と「萬世一系」(皇位継承をめぐって―「庶出ノ天皇」「女帝否認」;「天皇の退位」否認をめぐって)
「万世一系」と「天皇の不自由」との関係
著者等紹介
奥平康弘[オクダイラヤスヒロ]
1929年生まれ。1953年、東京大学法学部法律学科卒業。東京大学社会科学研究所教授、同所長、国際基督教大学教授、神奈川大学短期大学部特任教授を歴任。東京大学名誉教授。憲法学専攻。2004年6月に結成された「9条の会」呼びかけ人の一人
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