バウドリーノ〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 360p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000244282
  • NDC分類 973
  • Cコード C0097

出版社内容情報

あの『薔薇の名前』で世界の読書界の話題をさらった、イタリアの記号著者ウンベルト・エーコがふたたび中世を舞台にして放つ歴史フィクション。

時は十字軍たけなわの時代。主人公は、神聖ローマ皇帝フリードリッヒ・バルバロッサ(赤髭王)に気に入られて養子となった、貧しいイタリア農民の息子バウドリーノ。彼が夢と冒険を求め、中世ヨーロッパ世界を旅します。
歴史と空間の狭間で繰り広げられるバウトリーノの波乱に満ちた大活躍を、エーコが物語作者の真骨頂を発揮して描きます。
30数カ国語に翻訳され、世界で200万部以上のベストセラー小説“Baudolino”、遂に日本上陸。

<著者紹介>
 ウンベルト・エーコ
 1932年、イタリアのアレッサンドリア生まれ。
 世界的な記号論哲学者にして、ヨーロッパを代表する知識人。
 哲学的著作以外にも小説、評論など精力的に発表を続けている。
『バウドリーノ』は、『薔薇の名前』、『フーコーの振り子』『前日島』に
 続く小説第4作。著作は他に『カントとカモノハシ』、『エーコの文学講義』など。

<訳者紹介>
 堤 康徳(つつみ やすのり)
 1958年生まれ。イタリア文学研究者。
 東京外国語大学大学院修士課程修了。慶応義塾大学講師。
 訳書に、タブッキ『黒い天使』、ズヴェーヴォト『トリエステの謝肉祭』、
 ルッツアルト『反ファシズムの危機』ほか多数。

内容説明

今こそ聖なる杯グラダーレを返還するために司祭ヨハネの王国への道を切り開くのだ!―皇帝ひきいる軍勢とともに、バウドリーノと仲間たちはいよいよ東方への旅に乗り出すが、待ち受けていたのは思いもかけない運命だった。史実と伝説とファンタジーを絶妙に織りまぜて、エーコが遊びごころたっぷりに描きだす破天荒なピカレスク・ロマン。

著者等紹介

エーコ,ウンベルト[エーコ,ウンベルト][Eco,Umberto]
1932年、北イタリアのアレッサンドリアに生まれる。世界的な記号論学者にしてヨーロッパを代表する知識人。評論・創作に幅広く活躍する

堤康徳[ツツミヤスノリ]
1958年生まれ。イタリア文学研究者。東京外国語大学大学院修士課程修了。慶応義塾大学、上智大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

133
フリードリヒの死を契機にバウドリーノは司祭ヨハネを求めて仲間たちと東洋へ向かう。道中は異形の怪物が跋扈。腹部に性器、片目の巨人、無頭人などの種族の風貌や文化も奇天烈だ。ヒュパティアの登場で物語は益々ファンタスティックに屈折し、悉く痛切な結末を迎える主人公の恋愛や次々と去る仲間たちがロマンティックな哀感を醸し出す。それは信仰が性愛や死と密接に絡んでいる証左でもあり、人のあらゆる絆を引き裂くのが嘘の本質なのだろう。フリードリヒの死の真相まで存分に読者を惹きつける。運命は生粋の嘘つきに嘘以外への情熱を許さない。2021/12/19

ケイ

98
エーコのファンタジックなストーリーには、無理に風刺を探してしまう。記号学者でもある彼がこの時代を描いた理由、バウドリーノの語りから浮かび上がらそうとした物は?と。 単純に楽しんでしまえばいいものを。本を閉じてもしばし考え込む。そう、歴史家なんて自分側に都合のいい事実を並べ立て書き上げるペテン師だ。宗教家は、民衆にありがたい嘘を作り上げて信心を駆り立てる。権力者は自分が権力を持つ根拠を捏造する。パウドリーノが見た東方はどれほど真実だったのだろうか。薬が見せた夢か妄想か、あるいは見たと信じたい嘘だったのか…。2015/10/26

三柴ゆよし

28
バウドリーノと11人の仲間たちは、詭弁家ゾシモスに持ち逃げされたグラダーレ(聖杯)を求め、東方の地上楽園へと旅立つ。上巻が歴史小説なら、下巻は澁澤龍彦『高丘親王航海記』を髣髴させるゆるふわな幻想旅行記であり、スキアポデスや無頭人、一角獣にバジリスクにマンティコアといった、オリエンタルの怪物たちがぞろぞろ登場する。バウドリーノが怪物軍団を率いて凶悪な白フン族に立ち向かう、まさかの妖怪大戦争まで勃発して、頁を繰る手が止まらない。最後の最後で、エーコのドヤ顔を拝むことになるとは思わなんだが、とにかく楽しかった。2012/06/02

ネムル

26
ドンキ・ホーテだか某ギリシャ古典だかを、カルヴィーノ・シブサワ経由でアレンジした挙げ句、結局テリー・ギリアム化しちゃったったー、という嘘から出たマコトのアホ文。徹頭徹尾、嘘をつくことの愉悦に満ちた作品、堪能した。とはいえ、中世の意識においてヒュパティアやスキアポデスがどれだけ「嘘」であったのか不明瞭なあたり、一層エーコの巧緻を感じる。また、嘘つき・法螺吹きが誠実に真実を言おうとした時の2度の悲劇を見るに、中世と現代を串刺しにしたような視座の鋭さも見える。さすがエーベルト・ウンコ先生、鋭くもずるいやつだ。2017/04/19

Shin

15
上巻から下巻の前半まではバウドリーノに何かの「寓意」を重ねようと身構えながら読んでいたのだが、途中から物語じたいのもつ蠱惑的な雰囲気に全て委ねながら作品世界に没頭した。バウドリーノはホラ吹きながら悪人ではないと思うのだけれど、その辿りついた運命はあまりにも過酷で、何よりも歴史として記述されることはない、という冷徹な(しかしながら賢明な)評価が下されるところが切ない。エーコの小説はいずれも再読必須だと思うけど、この本は自分がうんと(ホラと真実の区別がどうでもよくなるくらいに)歳を取ってからまた読んでみたい。2011/10/15

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