出版社内容情報
都会に出た女が結婚をせず,子供を生まず,恋愛もせず,身体も売らず,生涯の保証もなく生きていくとはどういうことか? 40歳を控えて妖怪となった物書きが飼い猫と暮らす日常を様々の妖怪が現れて脅かす.欲望渦巻く東京の怪異譚.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
106
大きな声では言えないが、私も、妖怪あつひめと名乗ることがある。それは、世の中とあまりにも掛け離れてしまって、自分を正当化というか守りたい時に、自分で自分を慰める手として使う。笙野さんの今回のストーリーは…ところどころ何度も繰り返し読み返し、やっと…そうか~と理解する。私ののみ込みが悪いのか…。スリコは、ちょっとそばにいてほしくなったけど…。2013/07/24
きさき
15
★★★☆☆:半分だけ読んだ。まったり系。日常に妖怪を足すところが面白い。猫好きにはいいかも。2019/03/21
あ げ こ
9
何だか妙に可愛らしい。そのやり口が、その手段が。自らの痛みやら、苦しみやらを消化するため、消化して、正常に生きるため、正常な現実を守るため、妖怪化。それらの元凶となる存在を、元凶となる固定観念やら、思いの塊を、自分自身を、自分自身に下された、評価ごと、妖怪化。笙野頼子らしく、悪意も皮肉もたっぷり。だのに、どこか、可愛らしい。人を小馬鹿にしたような言葉にも、激しいものは滲む。しかし、それでも何故か勝る、可愛らしさ。嫌悪を象る言葉の軽快さ、すとんと胸におさまるような、コンパクトな痛快さが、何だか好ましい。2015/01/31
rinakko
6
こちらは初読。単身妖怪ヨソメと、字が読めて人の心も読めてワープロも打つ触感妖怪スリコ(不思議猫ドラ)。“ドラの体調が悪い時はなぜかヨソメの方も具合が悪くなっている”とか、今読むと「ああそうだったのねー」とじんわりくる。守り猫。2019/09/05
ヒロくま
3
人間も年をとって、心体から知らず知らずに滲み出る灰汁が強くなると、妖怪になっちゃうのかな?!と、思わせるようなお話が七編。触感妖怪・スリコは家にも来て欲しいなぁワープロは無いけど。^^むふ。2013/02/23