出版社内容情報
新発見の高校時代に書かれた、未発表詩集。自ら「秋たちぬ」とタイトルをつけ、編集、レイアウト、カットまで手がけた本書は、これまでは俳句・短歌から出発したと考えられていた寺山観を決定的に変えるだろう。少年の孤独やロマンを描いていても、虚構世界の中で書かれ、すでに「寺山修司」である。少年の青春をどう描くか、文学に関心ある読者に必読の書。
内容説明
いま蘇る、「詩集」と題された、少年時代の言葉たち。自らカットを描き、レイアウトし、創造した作品群は、世界を未来にむけて揺さぶる!
目次
雁
椎の実
六月
弘ちゃん
黒猫
金魚
鬼灯
いろり
則子
秋たちぬ〔ほか〕
著者等紹介
寺山修司[テラヤマシュウジ]
1935年生まれ。10代から俳句、短歌、詩を書き始め、1954年「チェホフ祭」50首で「短歌研究」新人賞を受賞する。以後前衛短歌の旗手として活躍する一方、詩、俳句、小説、演劇、映像とジャンルをこえて旺盛に作品を発表し続ける。1967年「演劇実験室・天井桟敷」結成、演劇活動の拠点とし、国内外で高く評価された。1983年逝去
田中未知[タナカミチ]
1945年生まれ。作曲家。「演劇実験室・天井桟敷」の旗揚げからのメンバーとして制作、照明などを担当。自らの創作活動のかたわら、公私にわたり16年間寺山の仕事を支え続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
27
寺山が14,5歳の頃ノートに記した詩。言葉を繰ることの感動と恐れ。寺山の本は詩集、歌集、エッセイの類などを読んできましたが未だによくわからない人物です。本書所収の詩では「金魚」が好き。2015/12/22
八百
16
父を亡くし母と離れた孤独の少年は「ことば」を友達にした。そして「ことば」と戯れ「ことば」と闘い「ことば」を魔法のように操り47歳で少年のまま此の世を去った天才の原点がここにある。生粋の照れ屋を隠すため斜に構えることの多かった寺山、しかしこの少年期に明け透けな「ことば」でストレートに心情を表現した作品群はどれも瑞々しくも美しくファンならずとも心を奪われるに違いないだろう。そしてこの未発表だったノートは詩歌に添えられた自筆のカットやレイアウトも秀逸なそれ自体が芸術作品、こちらの復刻版も是非手にしたいものである2015/04/23
めまい
3
自筆ノートがとても可愛く、そのまま載せたい編集者の気持ちがよくわかる。どれも素朴な純朴な詩。2023/01/23
保山ひャン
3
寺山修司が高校生のときに作った、私家版の詩集ノート。レイアウトも考えてあり、挿絵もつけてある。現実か虚構か判然としない人間関係を詠んだ詩もあり、寺山修司らしさが歴然とみてとれる(明らかに架空の家族関係ももちろん!)。それ以前に作った私家版の歌集と句集もあわせて、出揃った、という感じか。2015/03/24
シロツメクサ
2
若い時の寺山が彷彿。2015/01/04