内容説明
「帝国」日本と「祖国」中国のはざまで映画に自己表現の場を求め「交渉」と「越境」を繰り返した植民地期台湾映画人。植民地台湾での「交渉」はなぜ映画製作を産業化させることができなかったのか。「越境」した映画人、劉吶鴎はなぜ「漢奸」として暗殺され、何非光はなぜ「忘却」されることになったのか。本書は、各地のアーカイブ資料や日記・書簡・インタビューなどを用いて、台湾‐上海‐重慶における映画をめぐる政治を解きほぐしながら、彼らの足跡を明らかにする。失われた映画史の環をつなぐ初の試み。
目次
第1章 台湾―植民地統治下の台湾映画人(映画の分節的普及と統制;映画受容の特徴;「交渉」の諸相;小括)
第2章 上海へ―暗殺された映画人 劉吶鴎(日中戦争前の中国における映画の普及と統制;「帝国」からの離脱;上海での映画活動;南京の国民党映画スタジオ;「孤島」上海における映画統制;小括)
第3章 重慶へ―忘却された映画人 何非光(植民地主義への抵抗;上海における「他者」;日中戦争期中国の映画統制;重慶での映画活動;小括)
著者等紹介
三澤真美恵[ミサワマミエ]
1964年、大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、出版社勤務を経て台湾に留学。台湾大学歴史学研究所修士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士後期課程単位取得退学。早稲田大学演劇博物館21世紀COE事業客員研究助手を経て、日本大学文理学部中国語中国文化学科准教授。「植民地期台湾人による影画活動の軌跡―交渉と越境のポリティクス」にて東京大学より博士(学術)学位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- CARP@中国新聞 〈2009〉