出版社内容情報
ニクソン・ショックを端緒に、狂乱物価、円安、貿易赤字の「三重苦」に見舞われた日本経済。時の為政者や大蔵省や日銀のエリートはなぜ大混乱を防げなかったのか。当局者たちが残した膨大なオーラルヒストリーや私信、メモ等をもとに、近代経済史に残る一大事件の舞台裏を精緻に検証する。我々は半世紀前の失敗から何を学べるのか。
内容説明
1971年8月の「ニクソン・ショック」に端を発し、狂乱物価、円の暴落、貿易赤字の急拡大という「三重苦」に見舞われ大混乱に陥った日本経済。時の為政者や大蔵省、日銀のエリートは、なぜ事態を防げなかったのか。彼らは何を誤ったのか。歳月をこえて当局者たちが残した膨大なオーラルヒストリーや日記、私信等を独自に入手し、近代経済史に残る一大事件の舞台裏を精緻に検証する。我々は半世紀前の失敗から何を学べるのか。
目次
第1章 運命が変わった日(ニクソン・ショック、そのとき;何のことか分からなかった ほか)
第2章 スミソニアンへの難路(急ごしらえの売出手形;日銀理事、国会に呼ばれる ほか)
第3章 緩和、さらなる緩和(脆弱なるスミソニアン合意;1ドル=360円のミステリー ほか)
第4章 失政と狂乱の果て(田中と佐々木の奇しき縁;立ちはだかる財政の論理 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
82
金ドル交換停止を突如を発表した「ニクソン・ショック」から約半世紀。まだ学生であったが当時の事は良く憶えている。続いて起こった「オイル・ショック」を経て、日本経済は狂乱物価、円の暴落、貿易赤字の急拡大と大混乱に陥る。時の為政者、大蔵省、日銀のエリートは何を誤ったのか?当局者たちが残したオーラルヒストリーなどを読み解き検証する。通貨の交換比率が日々、変動する現在から見ると、どうして?と思うこともあるが、戦後長く続いた1ドル=360円という固定相場を死守という観念に憑りつかれ、自らの意志での「円切り上げ」⇒2023/05/30
koji
17
ニクソンショックからオイルショックまで、日本の転換点を舞台裏の証言録等をもとに構成したドキュメンタリー。著者は、当時の日銀の過剰流動性への金融政策対応の不味さを厳しく指摘しますが、列島改造まっしぐらの田中内閣、利権の温床寝業師の郵貯族が、こうも金融をかき乱しては、少し酷な感じがします。ただ「It's too late without doing anything.(打つ手が遅すぎて今となってはどうしようもない)」という日本の政策的弱点が、この時も致命的な失敗を引き起すのは、歴史は繰り返すの例えどおりですね2023/04/16
Kyo-to-read
4
速読本。現在のインフレに対する考察を深めようというコンセプトで読書。当時と今とでは、政治への忖度が金融政策の手足を縛っている点は類似しているが、経済成長が見込みがたい環境、日銀の弱体化が今起きている中でインフレに対峙しないといけない点が相違している。ただ当時は国際為替機軸の安定を放棄した米国への忖度というアップサイドの少ないゲームだったのに対して現在は自国に向き合えばよいという点では自分でゲームをコントロールする事もできるのにも拘らずなすがままになっている状況を見ると、よりやるせなさも感じてしまう。2024/02/11
takao
3
ふむ2024/05/27
chuji
3
久喜市立中央図書館の本。2022年12月初版。書き下ろし。半世紀前の経済譚。著書はTBSで報道関係のプロデューサーを務め、現在TBSホールディングス常勤監査役。関係ありませんが、オイラと同年生まれです。2023/02/24