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父は、特攻を命じた兵士だった。―人間爆弾「桜花」とともに

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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000238632
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

2度と帰らぬ出撃へ、特攻隊員から次の出撃者を選び、黒板に名前を書き出したのは弱冠23歳の分隊長、林冨士夫だった――。あれから65年。普通の家族の情景のなかで年老いた父の姿。その痛恨の思いに、息子・娘はある決断をする。

内容説明

父・林富士夫は、日本帝国海軍の特攻部隊、神雷部隊に所属していた―。生きて帰らぬ特攻出撃へ、隊員から出撃者を選び、その名を黒板に書き出した分隊長であった父。部下たちを見送り、生き残った自ら。生き残った辛さに苛まれ、一年三六五日のすべてを慰霊の日と心に刻んで過ごしたその後の日々―。戦後、あたり前のようにあった普通の家族が背負っていた、もう一つの物語。

目次

第1章 戦後64年の夏
第2章 人間爆弾訓練
第3章 黒板に書いた出撃隊員の名前
第4章 戦後65年の春
65回目の3月21日―あとがきに代えて

著者等紹介

小林照幸[コバヤシテルユキ]
1968(昭和43)年、長野市生まれ。ノンフィクション作家。明治薬科大学在学中の92年(平成4年)、『毒蛇』(TBSブリタニカ・文春文庫)で第一回開高健賞奨励賞を受賞。99(平成11)年、『朱鷺の遺言』(中央公論新社・中公文庫)で、第30回大宅壮一ノンフィクション賞を当時同賞史上最年少で受賞。98(平成10)年、信州大学経済学部編入学、2000(平成12)年卒業。明治薬科大学非常勤講師(生薬学担当)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

16
疑問を感じている作戦を命じなければならないのは、大変きつい任務だと思いました。命じられた人達が余りにも清々としている表現には違和感を感じました。また一番責任がある上層部の人達は戦果も分析していないみたいなので、歴史は繰り返すのかもなとも思いました。2021/10/15

てくてく

7
いわゆる特攻、爆弾を持って敵艦隊を攻撃する、開発者たちですら「非人道的」と理解していた決戦兵器の実行に関わり、23歳でその特攻を行うものを選ばなければならなかった林冨士夫の手記などに基づいて特攻の現場を描いたもの。兵器のあまりにも劣悪さや戦術としての非効率さを知りながら、それでも時代や場所の空気なのだろうか、兵士たちが死ぬこと自体については忌避感を持っていないことには違和感を覚えた。酒と薬で死の恐怖をまぎらわせた話はどこのことだろう。2023/02/20

タカラ~ム

7
今の国会で、某防衛大臣はミサイルも手榴弾も消耗品であり弾薬であると答弁して物議をかもしている。時代も法制度も違うけど、もし今の時代に「桜花」のような人間ミサイルが存在したら、某大臣の(というか防衛省の)定義からして、これも弾薬ということになってしまうのだろうか。2015/08/05

壱萬参仟縁

7
著者は文春新書の老人の性を赤裸々に描く作家。昨日戦没学生手記を読んでいたので、命令する人間の事情も知るには必要な文献だった。「戦闘機とは、制空権を得るために敵機を排除することを目的とした航空機」(14頁)。昨日、晴れた気分が一転して、評者の地域上空を自衛隊機が低空飛行して騒音をまき散らしていった。鉄の暴風と呼ぶ沖縄での地上戦(18頁)。人間が武器になる人間爆弾(第2章)。電文が届く。例えば、『第七二一航空隊ハ南九州へ進出セヨ』(110頁)と。冨士夫氏は死地に追いやった悔恨のため遺族と面談(161-2頁)。2013/03/01

貧家ピー

5
「永遠の0」映画&原作から、「桜花」を知って手に取った。非人道的兵器、いや兵器とも呼べないような桜花の乗組員を指名する役職だった主人公の手記を基にしたノンフィクション。黒板に名前を書き入れる、戻ってこない、段々と麻痺してくるのが怖い。2014/09/24

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