中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛

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  • サイズ A5判/ページ数 217,/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000238557
  • NDC分類 762.34
  • Cコード C0073

内容説明

ユダヤ人たちのクレズマー音楽、ロマのブラス・バンド、ルーマニアのラウタール(楽師)のヴァイオリン、ブルガリアのポピュラー音楽―民族混住の地の、エキゾティックだが懐かしい響き。その旋律は、民族や言語、国境を越え、20世紀の前衛芸術家たちを刺激し、新大陸の大衆音楽市場にも伝播した。この世界音楽史の様々な断片に目を凝らし、ヨーロッパ音楽の地下水脈の背景を、大きな地図のなかに読み拓く。

目次

第1章 ニシンとヴァイオリンと緑のユダヤ人―シャガールのヴァイオリン
第2章 異教的習俗のモンタージュ―ストラヴィンスキーとスコモローヒ
第3章 民俗音楽の喜劇的浄化―コダーイとクンデラ
第4章 民族間の「通貨」としての音楽―モルドヴァのブラス・バンド
第5章 「チャルガ」に夢中―ブルガリアン・ポップ・フォークの地政学
第6章 『ジプシーの恋』の夢と諦め―レハールのオペレッタ
第7章 妖しく高貴なヴァイオリン―エネスクとラウタール
第8章 リゲティが見入る地図―長いイントロダクションとインタビュー
終章 豚飼いの角笛の残響―バルトークの旅を辿る

著者等紹介

伊東信宏[イトウノブヒロ]
1960年京都市生まれ。大阪大学文学部、同大学院修了後、ハンガリー科学アカデミー音楽学研究所、リスト音楽院などに留学。大阪教育大学助教授を経て、大阪大学大学院文学研究科准教授。著書に『バルトーク』(中公新書、1997年、第7回吉田秀和賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

兎乃

22
“パプーシャ その詩の世界”や その映画を観て以来 ずっと気になっていて。付属CDを楽しみながら、興味深い読者旅行となった。2015/10/20

unknown

10
ブルガリアでは民俗音楽をポップにアレンジして女性歌手に歌わせた「チャルガ(Chalga)」というジャンルの歌謡曲が人気であるというくだりは個人的に興味深い章であった。付属CDには収録されていないのだけども、YouTubeで検索するとすぐに聴くことが出来る。色気たっぷりのグラマラスな女性が扇情的な詞を歌っていて、パッケージも殆どエロ写真に近い過激さという、非常にいかがわしくて刺激的な魅力のある音楽。土着の文化がその様相を大いに変えながらも大衆文化として息づいていくというのは面白い流れだなと感じた。2013/06/15

Wataru Hoshii

5
クラシック音楽、民俗音楽、ポピュラー音楽を横断しながら、東欧の音楽と文化の深層を探求する著者の論文集。私もまた、スラヴ文化、ユダヤ文化、ロマ文化、そして農民たちの文化が混じり合い、言語と国境線が錯綜するこの地域に強い関心を持っており、最後までワクワクしながら読んだ。リゲティのインタビューからモルドヴァのブラスバンドまで、題材もヴァラエティに富んでいる。終章の、100年前のバルトークの民俗音楽調査の足跡を辿り、トランシルヴァニアの豚飼いの角笛を探り、オケコンの終楽章の音型について推測する考察は本当に面白い。2019/01/27

unknown

4
ジプシーのロマやユダヤのクレズマーをはじめ、ロシア、ルーマニア、ハンガリーといった東欧の民族音楽/民俗音楽を雑多に読み込んでいく1冊(CD付き)。ストラヴィンスキー、コダーイやリゲティ、バルトークといった作曲家たちが民俗音楽からどのように影響を受け、またはどう関わりを持っていたかということや、シャガールの絵画に見るユダヤ性、レハールのオペレッタ『ジプシーの恋』に見る心性、クンデラの処女作『冗談』が、その翻弄の物語の中に書き出した民俗音楽の相対化など、各章は主に周縁からの視点でもって展開されている。2013/06/06

鳥取さん

2
ある講義で、教授が参考文献として上げていたので読んでみました。 中東欧の民族音楽には、個人的にたいへん興味があったので読んでよかった!と思える1冊です。特に昨年の「チューリヒ美術館展」で来日したシャガールの絵を何点か見たのと、講義で映画「屋根の上のヴァイオリン弾き」の一部を視聴したため、1章が興味深かった。 終章、著者がバルトークの足跡を辿る旅のエッセーも良かった。 音源CDが付いているので、実際に中東欧の民族音楽を楽しめます!目をつぶって聴けば、ノスタルジックな中東欧の村に居る気分になれますよ。2015/01/26

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