内容説明
本書では、フロイト精神分析理論の根幹をなす「象徴界」「想像界」「現実界」という区分に沿って対象を捉えることで、欲望の形成と対象の成立がどのように関わるのかについて考察。エディプス・コンプレックスや去勢コンプレックスなど、必ずしも十分理解されていないフロイトの概念について平易に解説。「対象a」という中後期ラカン理論における最重要概念を理解する上で必須の前提となる議論を展開。下巻では、フロイトのいわゆる「ハンス症例」、すなわち「ある5歳児の恐怖症分析」を取り上げ、上巻の議論が幼児期神経症の力動の中でどのように捉えられるのかを詳述する。
目次
エディプス・コンプレックスについて
去勢コンプレックスについて
シニフィアンを現実界へ
神話は何の役に立つのか
神話はどのように分析されるのか
シニフィアンと機知
二つの回路
置換
変形
母のパンツと父親不在
ゴム製論理の試み
「女なしで私に子供が与えられます」
ハンス・フェティッシュから鏡の中のレオナルドへ
著者等紹介
ラカン,ジャック[ラカン,ジャック][Lacan,Jacques]
1901‐1981。フランスの精神分析家。パリに生まれ、パリ大学で精神医学を修め、主にパラノイアを研究。第二次大戦後、フロイト理論をラディカルに展開し、有名な「鏡像段階論」をはじめとする自我や無意識の構造主義的探求によって、精神の科学に新たなる地平を拓いた。1964年にはパリ・フロイト派を創設し、その後のフランス精神分析の隆盛に決定的な役割を果たす。その思想活動は哲学・社会学・文学・言語論・記号論などにも広範な影響を及ぼした
小出浩之[コイデヒロユキ]
1943年生まれ。精神科医。岐阜大学大学院医学系研究科・精神病理学分野教授
鈴木國文[スズキクニフミ]
1952年生まれ。精神科医。名古屋大学医学部保健学科教授、同大学学生相談総合センター長
菅原誠一[スガワラセイイチ]
1970年生まれ。精神科医。国立病院機構東尾張病院勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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