内容説明
日本人にとって、中国は長らく、その先進的な文化や制度を学んできた国だった。だが明治以降、先に「近代化」を果たした我が国は、中国に対する見方を徐々に変えていく。明治期新川柳運動を担った井上剣花坊、大陸川柳壇の石原青龍刀、東野大八、関西川柳壇の小田夢路ら、戦争に向かう時代にあって、批評精神を保ち続けた川柳人らの作品と生の軌跡を時代に沿って辿りつつ、市井の川柳人たちの膨大な作品を読み解くことで、近代日中関係史を庶民の視点から再構築する。
目次
三人の川柳人―井上剣花坊、石原青龍刀、東野大八
1 新川柳の誕生―日露戦争前後、そして満洲(新川柳の立役者たち;満洲とは―満洲は別さと眉に唾をつけ)
2 「中華民国」と日本(相生相克―何となく革命軍に勝たせたし;満洲事変とその時代―亡国の歴史日本をとりかこみ)
3 日中戦争から敗戦まで(アジア・太平洋戦争―兄弟は五人亜細亜に散らばって;翻弄される人びと―戦争に征ったきりだと子に伝え)
大陸引揚柳人同窓会―小心火車しかし事変は爆破から
著者等紹介
中村義[ナカムラタダシ]
1929年東京生まれ。東京学芸大学名誉教授、二松学舎大学客員教授。専門は近代中国史、近代日中関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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