内容説明
ルネサンス期のヨーロッパで描かれたおびただしい聖母子像は、人間存在の美しさへの人々の感受性を目覚めさせ、子を慈しみ育てる母たちの理想像となり、さらには文字文化から遠ざけられてきた女性たちに学ぶことをうながす役割も果たした。聖母マリアのイメージの変遷を、名画を読み解きながらたどり、ルネサンスの息吹を生き生きと伝える。
目次
第1章 受胎告知―神の母から人の母へ(「受肉の神学」と新しい聖母子像;救済への入り口「受胎告知」;「受胎告知」のさまざまな表象 ほか)
第2章 ミルクスープの聖母―ミルクとスプーンのフォークロア(シンボル解読の旅へ;「授乳の聖母」と養い親ヨセフ;スプーンのシンボリズム)
第3章 書を持つ聖母―「神の器」から言葉の主体へ(象徴としての書物;読み書きを教える聖母;聖画の女性たちと書物 ほか)
著者等紹介
石井美樹子[イシイミキコ]
1971年、津田塾大学大学院博士課程修了。1974‐78年、ケンブリッジ大学で中世英文学・演劇を研究。現在、神奈川大学教授。文学博士
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
310
著者の石井美樹子氏はイギリス演劇の研究者。本書は「受胎告知」、「ミルクスープの聖母」、「書を持つ聖母」の3つの観点から主としてルネサンス期に描かれた聖母像の意味を探求する試み。とりわけ受胎告知では、イエスの受肉とルネサンスの人間発見との照応を論じており、この相乗作用のもとに聖母マリアに新たな意味を見出すのである。全体としては、この章と「書を持つ聖母」の章は説得力もあり、読んでいて実に面白いのだが、「ミルクスープの聖母」はこれまであまり論及されてこなかった新発見であるかもしれないが、ダヴィッドのみでは⇒2022/10/30
やぐ
0
マリアと書2012/12/06
陽香
0
200409282013/02/06