出版社内容情報
最晩年の大拙が,最も力を入れた仕事が禅文化の精華・「仙〓の禅画」の欧米への紹介であった.大拙の禅仏教観の到達点を示す遺作でもある.大拙に導かれ,機知とヒューモアに溢れる仙〓の世界が開かれる.初の邦訳刊行.
内容説明
大拙が、七十年余に及ぶ著作活動の最後の仕事として、最も力を入れて取り組んだのが、仙〓論の完成であった。大拙の生前には間に合わず、没後刊行された。大拙の仏教観の到達点を世界に示した作品。機知とヒューモアが横溢する仙〓の書画と賛を、大拙が独自の観点から遊戯自在に論じる。
目次
仙〓序論
墨絵および書―聖福寺における仙〓の生活
墨絵および書
著者等紹介
月村麗子[ツキムラレイコ]
トロント大学名誉教授。比較文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
仙厓の書画に関しては、その構図や筆致が表す緊張と弛緩のギャップが笑いをもたらす、と解される。著者もベルクソンの『笑い』を引いて、言語や論理を払う仙厓の書画に本来の我が出てくる際の喜びを見る。一方著者は、仙厓の書画に混沌が創造する宇宙を見出し(「◯△□」の画は、一切空(○)から原初の形(△)が現れ、更に2つ合わさって宇宙(□)を作る)、そのような笑いは、無分節の実在を宗教体験する「悟り」において、大般若(超越者)へと上昇すると同時に大悲(人類愛の人)へと下降する不二の往還運動によって作り出される、と捉える。2021/03/17
風斗碧
1
仙厓のゆったりのびのびした線につられて見たのだが、それぞれの絵に禅にまつわるお話があって、それを鈴木大拙が解説しているのが良かった。○△□が「宇宙」ってのは未だによく分からないが、鼎、座禅蛙、「これ喰ふて茶のめ」の円相が実に良い。 大拙の序文あってこその本である。2016/04/27