出版社内容情報
長期にわたる総力戦であった日中戦争下、空前の規模で行われた人や食料の徴発は、中国社会に大きな混乱を与えた。その苛烈な実態と、混乱の中から変容を遂げていく中国社会の動態を、現地資料を活かして克明に描き出す。
内容説明
長期にわたる総力戦であった日中戦争下、日本と同様、中国でも厖大な食糧と人員が空前の規模で徴発・動員された。社会に大きな混乱を与えた中国の戦時徴発の知られざる実態、過酷な状況下で生き抜こうとした人々の生々しい姿とともに、混乱の中から変容を遂げていく中国社会の動態を、現地蒐集資料を活かして克明に描き出す。
目次
第1部 食糧徴発の実態(噴出する不満、たじろぐ政府―食糧負担の配分問題;食糧を襲う飢民の群れ―食糧の運搬・保管をめぐる矛盾)
第2部 徴兵の実態(生命には替えられぬ―さまざまな兵役忌避;貧者とよそ者をねらえ―壮丁拉致の行動原理;俺を買ってくれ―兵士の「売買」)
第3部 地域権力構造の変動(成り上がり者―新たな地域権力者の肖像;取れるものなら取ってみろ―地域ボスの抵抗)
第4部 事態打開への動向とその限界(負担を分かち合う―出征軍人家族の優待;沸き立つナショナリズム・その光と影―知識青年従軍運動;戦時徴発を支え、そして掘り崩す―各級民意機関の活動;収奪の洗練と徹底に向けて―人民共和国初期の政策への接近)
結語 日中戦争が中国社会にもたらした変容
著者等紹介
笹川裕史[ササガワユウジ]
1958年生。埼玉大学教養学部教授
奥村哲[オクムラサトシ]
1949年生。首都大学東京都市教養学部・同大学院人文科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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