内容説明
冷戦後の国際秩序を、文明の本質的相違にもとづく文明間の対立構造として捉えて、近年世界的に大きな議論を呼ぶS・ハンチントンの「文明の衝突」論を、現実の多様性を無視したミスリーディングな議論として真っ向から批判。それぞれの文化が内部に抱える大きな政治的・思想的な矛盾、社会的・経済的な要因こそが現代世界における社会的衝突の根底にあることを、具体的な事例を挙げ、さまざまな指標を提示しつつ論証。ハンチントンに代わる、現代世界の体系的学問的かつ現実的な見取り図を提示する。ヨーロッパにおける平和研究の第一人者による、鋭く深い洞察に富む現代政治論。
目次
第1部 多元性と政治化―諸文明にたいするチャレンジ(現代世界における間文明的哲学;振り返ってみることは役立つか―現代中国にたいする古代中国哲学の重要性;宗教改革的な革新のチャンスはあるのか―イスラームと多元主義の挑戦;“出家すること”対公共的秩序―仏教への問い;霊性の多元性から近代的な多元性へ―岐路に立つヒンドゥー教;中間考察)
第2部 諸文明の衝突?(文明の衝突という固定観念;文化的抗争の現実;アジア的価値とそれ以外の価値;中間考察)
第3部 諸文明についてのコミュニケーション(文明間の対話を新たに方向づけるために)
著者等紹介
ゼンクハース,ディーター[ゼンクハース,ディーター][Senghaas,Dieter]
1940年生まれ。ドイツの政治学者・平和研究者。ブレーメン大学名誉教授。テュービンゲン大学、アマースト大学、フランクフルト大学、ミシガン大学等で政治学、社会学、歴史学、哲学等を修め、1967年に「威嚇の批判―国際政治理論への寄与」でフランクフルト大学博士号取得。同大学教授を経て、1978年、ブレーメン大学教授(平和、紛争、発展問題などを中心に、国際関係・国際社会論を講ずる)。ドイツ国際安全保障研究所教授、異文化国際問題研究所所長を兼任。1987年に国際平和研究賞、99年にゲッティンゲン平和賞、2000年テュービンゲン大学名誉学位を受ける。2005年退官
宮田光雄[ミヤタミツオ]
1928年生まれ。東京大学法学部卒業。東北大学名誉教授。政治学・ヨーロッパ思想史専攻
星野修[ホシノオサム]
1953年生まれ。東北大学法学部卒業。山形大学人文学部助教授。政治学・ヨーロッパ政治思想史専攻
本田逸夫[ホンダイツオ]
1956年生まれ。東北大学法学部卒業。九州工業大学工学部教授。政治学・日本政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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