内容説明
世の中が様変わりしても、慣性や嗜好を「改良」することは容易ではない。激しく移り変わる世相を背景に、芝居小屋や寄席の内と外で、人々はどのような経験をしていたのだろうか。演じられ語られてはそのたびごとに消えていく、はかなくも絶えることのなかった芸能という営み―その実像を新聞や公文書などさまざまな資料からよみがえらせる近代芸能史。
目次
鏡に映った日本人
身分の解放―明治初年代の芸能行政
負の遺産―江戸からの連続と断絶
米欧の声―芸能の価値転換
失速と停滞―明治人の声と耳
自由民権の嵐―思想を盛り込む
幻想の改良運動―文明国にふさわしい芝居とは
改良の扉が開く―川上音二郎の「正劇」
大衆演芸の世界―落語・講談・浪花節の盛衰
娘義太夫繁盛記―「土場浄瑠璃」からアイドルへ
作者とは何か―芝居と著作権
「一等国」の面目―劇場建設と人材養成
思想善導―「日本主義」の巻き返し
日本人の民度―新しいメディアと検閲
著者等紹介
倉田喜弘[クラタヨシヒロ]
1931年生まれ。大阪市立大学経済学部卒業。日本放送協会退職。専門は近代芸能史。新聞や公文書などの資料を広く渉猟する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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