出版社内容情報
イエス磔刑から1000年,終末に備えるべくローマ教会が着手した改革は,救済に向けた秘蹟の力を自らに一元化しようとする.11世紀の聖餐の秘蹟論争を,〈記憶と時間〉をめぐる神学・政治闘争として読みとき,改革の真相をさぐる.
内容説明
イエス磔刑から千年、ローマ教会は蔓延する宗教腐敗を一掃して終末に備えるべく改革に着手する。レオ九世時代に本格化したこの改革は、万人の救済に向けた秘蹟の力をローマに向けて一元化しようとするものであった。本書はこの改革過程で起こった、秘蹟をめぐる論争を“記憶と時間”をめぐる神学・政治闘争として読みとき、そこからグレゴリウス改革の真相をさぐる斬新な思想史の試みである。
目次
緒論 西欧中世的な秩序の硬直化と宗教・政治腐敗
第1章 ベレンガリウスの聖体説と時間イデオロギー
第2章 ペトルスによる弁証論理の批判と常識の擁護
第3章 ランフランクスの駁論と教権支配の論理構造
結語 聖俗の二元的な収奪と今日におけるその残光
付論 ペトルス全能論の諸解釈に向けた批判的検討
著者等紹介
瀬戸一夫[セトカズオ]
1959年生まれ。東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程修了。現在成蹊大学法学部教授。専攻哲学史。著書に『講座ドイツ観念論』(共著、1990、御茶の水書房)、『真理への反逆』(共著、1994、富士書店)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。