出版社内容情報
東日本大震災と、それに続く原発事故は、我々に壊滅的な打撃を与えると同時に、この社会が抱えもつ病理をもあぶりだした。この事態を無に帰することなく、明日の希望へとつないでゆくために、我々は何を思考の起点にすえ、何をなすべきか。日本とその社会のあり方を根源的に問い直す、二百枚を越える渾身の書き下ろし「祈念と国策」を収め、世に問う。
内容説明
核燃料サイクルの放棄は、「技術抑止」という日本のこれまでの核抑止政策の「放棄」であることを、世界に向けて宣言するかたちで、行われなければならない。今回の原発事故の最大の原因は、日本がほんとうの意味で「原子力の平和利用」を確立できなかったからだというのが、世界に向けての日本としての反省でなければならない。この宣言を起点として、ドイツの例に見られるように、日本は、東アジアの近隣諸国、米国、ロシア、その他の国に、今度こそ、核兵器を否定する国として立国することを訴え、信頼を勝ちとるのでなければならない。そして、そこから新しい外交と、産業と、哲学とを作り出していくのである。これは、夢物語だろうか。渾身の書き下ろし「祈念と国策」を収め、世に問う。
目次
死に神に突き飛ばされる(「追い抜かれる」という新しい経験;小説家は何を語るか;我らの狂気を「生き延びる」こと;死に神に突き飛ばされる―フクシマ・ダイイチと私;政府と新聞の共同歩調;未来はおねしょしている;未来からの不意打ち;私たちの炉心の溶融;疑問だらけの菅降ろし;新しい母語の用法)
祈念と国策(はじめに―何を考えるべきかということ;原発は維持すべきか、排すべきか;世界のなかで考えるべきこと;メディアの問題;アトムとゴジラ―祈念と怨念;核燃料サイクル、技術抑止、国策)
著者等紹介
加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年生まれ。東京大学文学部仏文科卒。現在、早稲田大学国際学術院教授。文芸評論家。「言語表現法講義」(岩波書店、1996年)で第10回新潮学芸賞受賞、「敗戦後論」(講談社、1997年/ちくま文庫)で第9回伊藤整文学賞受賞、「小説の未来」(朝日新聞社、2004年)と「テクストから遠く離れて」(講談社、2004年)で第7回桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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壱萬参仟縁
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