3.11―死に神に突き飛ばされる

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  • サイズ B6判/ページ数 144p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000230421
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0095

出版社内容情報

東日本大震災と、それに続く原発事故は、我々に壊滅的な打撃を与えると同時に、この社会が抱えもつ病理をもあぶりだした。この事態を無に帰することなく、明日の希望へとつないでゆくために、我々は何を思考の起点にすえ、何をなすべきか。日本とその社会のあり方を根源的に問い直す、二百枚を越える渾身の書き下ろし「祈念と国策」を収め、世に問う。

内容説明

核燃料サイクルの放棄は、「技術抑止」という日本のこれまでの核抑止政策の「放棄」であることを、世界に向けて宣言するかたちで、行われなければならない。今回の原発事故の最大の原因は、日本がほんとうの意味で「原子力の平和利用」を確立できなかったからだというのが、世界に向けての日本としての反省でなければならない。この宣言を起点として、ドイツの例に見られるように、日本は、東アジアの近隣諸国、米国、ロシア、その他の国に、今度こそ、核兵器を否定する国として立国することを訴え、信頼を勝ちとるのでなければならない。そして、そこから新しい外交と、産業と、哲学とを作り出していくのである。これは、夢物語だろうか。渾身の書き下ろし「祈念と国策」を収め、世に問う。

目次

死に神に突き飛ばされる(「追い抜かれる」という新しい経験;小説家は何を語るか;我らの狂気を「生き延びる」こと;死に神に突き飛ばされる―フクシマ・ダイイチと私;政府と新聞の共同歩調;未来はおねしょしている;未来からの不意打ち;私たちの炉心の溶融;疑問だらけの菅降ろし;新しい母語の用法)
祈念と国策(はじめに―何を考えるべきかということ;原発は維持すべきか、排すべきか;世界のなかで考えるべきこと;メディアの問題;アトムとゴジラ―祈念と怨念;核燃料サイクル、技術抑止、国策)

著者等紹介

加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年生まれ。東京大学文学部仏文科卒。現在、早稲田大学国際学術院教授。文芸評論家。「言語表現法講義」(岩波書店、1996年)で第10回新潮学芸賞受賞、「敗戦後論」(講談社、1997年/ちくま文庫)で第9回伊藤整文学賞受賞、「小説の未来」(朝日新聞社、2004年)と「テクストから遠く離れて」(講談社、2004年)で第7回桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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百太

21
タイトルと表紙デザインで手にしました。中身については、微妙なエッセイです。村上春樹について書かれている事がちをっと興味をひきました。2017/03/25

ころこ

16
数年前に一度読み、今回読んで意外な印象を受けたのは、著者の文章が「文学的」ではなかったというものでした。著者は、初期の文芸評論をはじめ、中野重治、吉本ばなな、村上春樹などの小説を文芸評論として論じてきました。他方、靖国問題や戦後の歴史観などの社会への関心も、著者の語り口にある「ねじれ」の感覚が、文学として機能するという独特の回路を開いている稀有な文章として注目してきました。初読のときは、今回のテーマである3.11直後の著者の関心の在り様として読んだのではないかと思います。再読では、議論の行方は度外視した加2018/02/16

寛生

13
斬新なタイトルとカバーの装飾に魅了されて購入したが、著者の強い自己愛のにおいにたまらなくなって読み進めるのが困難な前半だったが、後半から注意深く議論を展開されているという印象も持った。しかし、それでもかなりの重複がある。エッセイ集とか、何とか、最初に読者に断るべきで、学者の本としては少し残念である。これといって革新的な提案をしているわけでもないし、原発などに独自の立場を明確にしているわけでもないが、丁寧な議論の展開には注目に値するだろうと思う。2013/08/22

壱萬参仟縁

6
死神=放射能。絶望感、悲愴感、孤立感(26ページ)。評者も、福一原発の絶望的な未来に「ぁ~ぁ」とため息をつくケースが増えてきたのは誠に残念無念。日本が世界の一員であるとの意識を強めないといけないという(43ページ)。アルジェリアでの悲劇が伝えられるが、日本人がなぜ恨まれているのか、自省が必要。アメリカの言いなりという面で。残念なのは、寺島実郎氏や立花隆氏が原発維持派との由(78ページ)。人間は万能じゃない。忠臣蔵症候群(零から新価値を創造し、行動力を組織するのが苦手で、政治がダメ)とはな(168ページ)。2013/01/20

ophiuchi

4
核燃料リサイクル計画を破棄し、使用済み核燃料処理に道筋をつけ、必要最小限の安全性の高い原発を稼働させ、再生可能エネルギーの開発にリソースを集中するべきという私の考えとほぼ一致する内容だった。安倍政権になってから原発推進派の巻き返しが顕著だが、次世代に負担を先送りしようとする人達を何とか食い止めねばならない。2013/03/04

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