内容説明
「国体明徴運動」を主導し、戦前のファシズム体制を代表する組織としてのイメージが強い在郷軍人会。しかし、その実態はあまり知られていない。総力戦にそなえた社会の軍事的再編をも射程に入れた陸軍による組織運営は、地域秩序の中で生きる民衆でもある在郷軍人たちを前にしてどこまで貫徹されたのだろうか。軍隊的価値観と民衆的価値観との間で揺れ動き続けた在郷軍人会の歴史を、日露戦争後の発足からアジア・太平洋戦争敗戦による解体までを通して描く。
目次
はじめに―在郷軍人は軍服を着た市民なのか
在郷軍人会の出発―日露戦後・在郷軍人会の位相
キーワードとしての良兵良民―軍隊的価値観と農村的価値観の相剋
市民社会と向き合う―大正デモクラシーへの対応
軍の危機感から生まれる国家主義
規約改正から青年訓練へ―総力戦の新体制
満州事変―蠢く銃後
国体明徴へ―非常時に運動する在郷軍人会
日中戦争―赤紙の祭りから戦線拡大へ
在郷軍人は玉砕要員だったのか―アジア・太平洋戦争
在郷軍人会とは何だったのか
著者等紹介
藤井忠俊[フジイタダトシ]
1931年山口県生まれ。「現代史の会」主宰。専攻は日本近現代史・民衆史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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