内容説明
若きユングの最初の患者にして恋人、後に独創的な精神分析家としてフロイトからも高く評価されたザビーナ・シュピールライン。しかし母国ロシアに戻った彼女を待っていたのは、スターリン時代の粛清により弟三人を銃殺され、自らもドイツ軍に娘二人とともに虐殺されるという残酷な運命だった。スキャンダルの当事者という歪曲された烙印を押されたまま、先駆的な業績とともに歴史の闇に葬られていた彼女の生涯を、膨大な史料と各国にわたる調査により丹念に跡付けた画期的な力作。
目次
第1部 ロシアでの幼年時代(父親の生い立ち―農民の息子から大商人へ;母親の生い立ち―帝政ロシアで初めて大学に入学した女性の一人;ロストフ・ナ・ドヌーでの幼年時代;ロストフのエカテリーナ・ギムナジウムにて)
第2部 スイス時代―1904~1911年(神経症の時代;約束の地;ブルクヘルツリ精神病院;ユングの治療とザビーナの転移;友人の女性たち;チューリヒのロシア人女子学生たち;ザビーナの孤独;ユングからフロイトへの報告;医学博士の試験に合格する)
第3部 ミュンヒェン‐ウィーン‐ロストフ‐ベルリン―一九一一~一九一四年(論文「生成の原因としての破壊」;ウィーンでフロイトに師事する;ロストフでの結婚;ベルリン時代―一九一二-一九一四年)
第4部 二度目のスイス滞在―一九一四~一九二三年(ローザンヌ―『風』;ジュネーヴの精神分析家;東か西か?)
第5部 ソ連の実験室―一九二三~一九四二年(「マシニザーツィヤ」―新しい人間への夢;ロシアを覆う闇;ザビーナ・シュピールラインの死)
著者等紹介
リッヒェベッヒャー,ザビーネ[リッヒェベッヒャー,ザビーネ][Richeb¨acher,Sabine]
デュッセルドルフ生まれ、スイス在住。社会学者、精神分析家、著述家。長年にわたって『新チューリヒ新聞』にコラム「心理学の最新動向」を執筆。また精神分析学におけるアウトサイダーに関する数多くの講演を行っている
田中ひかる[タナカヒカル]
1965年ボンで生まれる。千葉大学文学部史学科卒。一橋大学大学院博士課程単位取得退学。1997年一橋大学で博士号取得。現在、大阪教育大学准教授。専攻は歴史学、とくにアナーキズム史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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