内容説明
南仏における王権の拠点都市として繁栄を誇ったトゥルーズは、次々に災害に見舞われた「災害都市」でもあった。ペスト、洪水、飢餓、プロテスタントや大貴族の反乱―カピトゥールと呼ばれる市参事の指揮のもと、様々な厄災に対応していったトゥルーズの歴史をたどることで、当時の都市のあり方や人びとの営みが生き生きとよみがえる。
目次
近世初期フランス絶対王政と都市
第1部 トゥルーズの環境(トゥルーズをめぐる自然環境;トゥルーズの都市空間;トゥルーズの都市社会)
第2部 トゥルーズの事件史(プロテスタントの反乱;ペストの流行と飢饉;地方総督の反乱;民衆の動揺と洪水)
トゥルーズの被害とその後
著者等紹介
宮崎揚弘[ミヤザキアキヒロ]
1940年東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。慶應義塾大学商学部教授を経て、帝京大学文学部教授。近世フランス史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鵐窟庵
6
17世紀南仏の都市トゥルーズに起きた複数の災害を史料に基いて克明に追った内容。プロテスタントの反乱から始まり、ペストの三度なる流行、その後の地方総督の反乱、洪水と1628年〜1636年の間に厄災が集中した。特に当時のペスト禍は、2020年現在の世界的状況と重なる点が多々あり、商業ルートを通して持ち込まれ、都市閉鎖、侵入、最初の死者、感染拡大、都市機能喪失、犯罪、集会の危険視、山師的医師の登場、都市財政の逼迫、ペスト散布人による再燃飢饉発生の噂、貧民退去、消毒家の活躍と言った、感染の各段階の状況が生々しい。2020/04/12