出版社内容情報
梅田スカイビル、京都駅ビル、札幌ドーム……。「集落への旅」を起点に、生涯、「建築に何が可能か」を問い続けた哲人・建築家。氏を師と仰ぐ都市論の第一人者を相手に、自らの人生と思想を縦横無尽に語った対角線の対話。一月に逝去した原が、最後まで全力で取り組み、遺したオーラルヒストリー。[図版多数・口絵一丁]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ganesha
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梅田スカイビルや京都駅ビルを設計した建築家が、その研究室に在籍していた社会学者との対談で語った自身の人生、研究、作品。丹下健三に対する下の世代とゼミでの現地調査、逃亡者と集落との付き合い方が印象に残った。2025/06/07
kentaro mori
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⚫︎都市と集落の違いはどこにあるのか。はっきりは言えないけれども、表象していくことを意識するのが都市であって、それを意識しないのが集落だと思います。⚫︎こっちと向こうが向き合っているという谷間の地形は非常に重要です。人間存在のあり方や対話を暗示している。それを、李白は雲と一緒に捉えました。自由に動く雲が浮遊する様が、有孔体、そして向かい合うということ、それらがそれぞれ繋がっていることは説明が必要かもしれません。しかし、実は谷間に屋根をかけると、そのまま建築ができあがります。そこで発生するのが雲です。雲が2025/05/30
mori-ful
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「僕が民主主義をどういうふうに理解しているかと追うと、それは雑巾で床を拭くことです。今でも自分で床を拭いています」 「つまり私は鴨長明やソローが、比喩的な意味ではなく建築家であったと言っているのです」 「ソローの『森の生活』は、ほぼ次のように要約されるでしょう。まず、人の人生は、それぞれ独立した人生であるから、その都度実験であり、他の人々の経験などあてにならない。次に、それ故、現実をよく観察することが、人生の基本になる」 (原広司『このとき、夜のはずれで、サイレンが鳴った』)2025/07/06