内容説明
独裁体制や内戦における深刻な人権侵害を処罰する国際刑事裁判の実績が積み重ねられている。だが、民主化や紛争終結といった平和の創造を優先するために、法による責任追及を控えるべきという議論も根強い。はたして、正義の追求は平和を阻害するのか。国際刑事裁判の抱えるディレンマの政治的構造を、理論的考察と事例研究を通じて解明する画期的研究。
目次
正義の追求は平和を促すのか
第1部 国際刑事裁判の法規範(現代の国際刑事裁判の特徴)
第2部 国際刑事裁判のディレンマ(国際刑事裁判のディレンマの政治構造;自己付託―政敵駆逐の政治裁判のゆくえ;国際刑事訴追―「平和に対する脅威」か、「西欧列強による体制転換」か?)
第3部 人権裁判の意義と限界(移行期の正義の追求;混合裁判―国際規範の転換と裁判のゆくえ)
国際刑事裁判の法の支配
著者等紹介
下谷内奈緒[シモヤチナオ]
1998年東京大学法学部卒業、2000年ブラッドフォード大学大学院平和学研究科修士課程修了。ジャパンタイムズ記者、日本国際問題研究所研究員などを経て、2017年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻(国際関係論コース)博士課程修了。現在、津田塾大学学芸学部国際関係学科講師。専門は国際政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayan
19
正義の追及は平和をもたらすのか?著者の問いは移行期正義の国際政治に焦点を当てる。その際、モーゲンソー、カーの古典に再言及し国際政治の現実主義と理想主義の再考を試みる。著者の議論は対立軸を正義または秩序と示す。その設定は明快で議論の見通しが非常に良い。国際政治の文脈で「国際的批判かわすために、国際規範を国内法に取り入れる。それは過去の人権問題に対処することが国内秩序にマイナス要因である、とする認識に変化が生まれた。つまり国際的正当性を確保すことで政権の安定化を目指す」と分析するくだりは非常にダイナミックだ。2020/06/07
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