出版社内容情報
〈中華〉=中心意識の成立をめぐって、春秋戦国期の諸文書と出土資料から、その多義的でダイナミックな生成過程を再現する。王の遍歴説話、幻の夏王朝などを精細に検討し、文明と国家の起源という問題に新しい視野を拓く。
内容説明
古代黄河・長江流域を舞台にした、中心意識の多様性と諸国間関係の重層性を解きほぐす。漢語世界の他者としての「戎狄蛮夷」とは何者であったのか。それに対する“中華”とは、果たして特定の国や集団の自称であったのか。二項対立的な「華夷思想」を解体し、「覇者」が構築した多国間の同盟関係と、それが織りなす統合と排除の論理を明らかにする。始原の存在として堆積した「禹」や「夏王朝」伝承の文明論的意味とは何であったのか。古典文献と出土資料の解読に基づき、統一王朝の「帝国」的な説明原理の登場と、中国地域の形成に至るダイナミックなプロセスを追う。
目次
序章 “中華”とは何か
第1章 先秦時代の華夷言説
第2章 春秋時代の「戎」について
第3章 鮮虞中山国の成立
第4章 春秋時代の国際会盟と華夷秩序
第5章 晉文公の諸国遍歴説話とその背景
第6章 禹蹟から諸夏へ
第7章 秦公諸器銘の検討
第8章 秦律の夏と臣邦
終章 先秦時代の“中華”観念と華夷思想
著者等紹介
渡邉英幸[ワタナベヒデユキ]
1974年生まれ。東北大学大学院国際文化研究科博士課程修了。東北大学東北アジア研究センター講師、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、現在東北学院大学・石巻専修大学等非常勤講師。博士(国際文化)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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