出版社内容情報
全地中海世界を支配に収めたローマが統治の基軸としたのは,近代の概念枠組とはおよそ異質な支配=被支配のパトロネージ関係であった.「帝国」支配の本質をめぐって著者が内外に問うた研究成果を集成する論文集.
内容説明
前2世紀、ローマの支配は不動のものとして地中海世界の東西にあまねく及んだ。いわゆる「ローマ帝国」(インペリウム・ローマーヌム)の成立である。ローマの支配者たちは支配=被支配のパトロネージ関係を基軸に各地の諸民族の指導者層を自らのもとに統合し、一大広域支配を確立していったのである。近代の概念枠組を適用したのでは捉えられない古代ローマの「帝国」支配の本質を解明した著者積年の研究成果を集成する論文集。
目次
1 諸「帝国」のなかのローマ帝国(ローマ帝国という名の国際社会;ローマ帝国と「帝国主義の時代」;「帝国」という概念について)
2 古代ローマ帝国の「本質」をめぐって(属州クリエンテーラと補助軍;ローマ元首政の起源;ローマの対外関係における自由(libertas)の概念について―前二世紀を中心として ほか)
3 三つのケース・スタディー(条約締結国としてのメッサナ;アンビオリクス;ポンペイウスの“legio vernacula”について ほか)
著者等紹介
吉村忠典[ヨシムラタダスケ]
1925年名古屋市に生まれる。1948年東京大学文学部卒業。横浜国立大学名誉教授。ローマ史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。