内容説明
半世紀前1961年に制定された「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」は、東京電力福島第一原子力発電所の破局的事故に対して無力だった。本書は3.11以前の原子力損害賠償制度がどのように構築され、運用されてきたかをまず検証する。次いでその不備をどのように乗り越えて現行の損害賠償スキームが短時間に構築されたのか、そして東京電力はなぜ破綻せず「国有化」されたのかについて、政策担当者等への綿密な聞き取りに基づきその詳細を明らかにする。公共政策・行政学における画期的な事例研究。
目次
なぜ政府は新立法を必要としたか
第1部 「原子力損害の賠償に関する法律」における国家の責任(原子力事業者の厳格責任と国家関与の曖昧;原賠法「不変」の構図;チッソ金融支援方式と支援機構スキームの共通性)
第2部 原子力損害賠償支援の政策学(東京電力破綻回避の真実;原子力損害賠償支援機構を設立した政府の意図;過酷事故の教訓と原賠法、支援機構法改正の論点)
第3部 賠償・除染・廃炉―東京電力国有化の論理(預金保険制度の支援機構スキームへの転用;政府による支援機構スキームの実践;東京電力分割構想と電力自由化の整合性;原子力損害賠償制度の二層化の必然)
著者等紹介
遠藤典子[エンドウノリコ]
ジャーナリスト・コラムニスト。1994年株式会社ダイヤモンド社入社、週刊ダイヤモンド編集部にて小売り・流通業、電機・IT産業、エネルギー・環境政策、国際金融・財政政策、産業政策などを担当、取材・執筆活動を行う。2004年から2006年には、国立大学法人九州大学の東京事務所長を兼務、産学連携プロジェクトに従事する。2006年、週刊ダイヤモンド副編集長に就任。2011年8月より、コラムニストを務める一方、株式会社フォルマにて、ワシントン、ニューヨークを拠点に、企業および公的機関のクロスボーダー取引におけるコンサルティング業務を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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