内容説明
1998年から2006年に北タイのチェンマイを中心に、エイズについて調査した著者が直面したのは、社会全体に危機をもたらしているエイズの感染爆発と、社会の底層から人々を支援し救済するため生まれた自助グループだった。独自の人類学の視点から、そこに介入する多層的な権力関係や勃興する新たなコミュニテイの動きを浮き彫りにする。
目次
第1章 生とコミュニティ(人類学的アプローチ;タイにおける保健医療とHIV感染爆発;保健医療における権力作用;新しいコミュニティとエージェンシー)
第2章 自己統治の技法(自助グループの誕生;実践と交渉;自己の流儀による健康ケア;自己統治と主体)
第3章 ケアのコミュニティ(保健医療をめぐる統治性;ネットワークからコミュニティへ;「コミュニティ・ケア」の出現;ハビトゥスの改変と下からの統治性)
第4章 生社会コミュニティの人類学(コミュニティは実践的に構成される;統治性からの視点;生社会コミュニティと公共性;生社会コミュニティの変貌と未来)
著者等紹介
田辺繁治[タナベシゲハル]
国立民族学博物館名誉教授、大谷大学文学部教授。文学修士(京都大学大学院文学研究科)、Ph.D.(ロンドン大学大学院東洋アフリカ研究学院)。澁澤賞(1978年)、日本文化人類学会賞(2008年)受賞。国立民族学博物館民族学研究開発センター教授を経て現職。専門は社会人類学で、東南アジアにおける上座部仏教、精霊信仰、保健医療、エイズ自助グループの研究を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。