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出版社内容情報
グローバル化や規制緩和の流れのなかで,社会に契約による活動行領域が一層拡大しつつある.日本の現実に即した新しい契約観を提唱,学会に一石を投じた著者が契約法の今日的問題をさまざまな角度から論じる.内田民法学の最前線!
内容説明
グローバル化・情報化・規制緩和の流れのなかで、我々の社会は「契約」に委ねられる領域が一層拡大しつつある。「契約」をどのように捉えるかは、社会をどのような理論で把握するかという問題につながる。伝統的な契約概念を批判して日本の現実に対応しうる新しい契約観(関係的契約理論)を提唱し、学界に一石を投じた著者が、その理論をさらに発展させて現代契約法の今日的問題をさまざまな角度から論じる。
目次
1 現代契約法の新たな展開(現代日本の契約法と一般条項;プロセスとしての契約)
2 現代契約法の基礎理論(現代契約法の思想的基礎;契約の拘束力―強制履行と損害賠償;不法行為法と「関係」―現代不法行為法における道徳化と脱道徳化)
3 現代社会の潮流と契約法(規制緩和と契約法;グローバリゼーションと契約法の統一;情報化時代の契約―継続的取引の実態調査を踏まえて;契約法の未来)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hisashi Tokunaga
2
(メモ再読)イアンマクニールの「関係的契約」を提示しつつ、今後の契約につき新たな「契約観を支える思想」の必要性を提起するもの。内田のここでの提起はクラシックな民法論の学説批判ではなく、今日に必要な民法法規範の基礎付け提案である。特に展開されるのが「関係的契約原理」としての「継続性原理」「柔軟性原理」が今日グローバル化の進展により内在化される民法の改革であろう。1970年代以降「関係性」の概念が深化されるに伴い、ある意味で民法特に契約法が潜らなければならないタイミングでの民法学者の提言であった。2022/09/10
chayka2
1
北川『契約責任の研究』によればハウプト(Günter Haupt)なるドイツ人学者が「事実的契約関係の法理」という形で内田貴先生がアメリカ経由で紹介する「関係的契約モデル」と類似した概念を提唱していたようだ。そして、日本にも早い時期からハウプトの「事実的契約関係の法理」は紹介されていたっぽい。この二つの概念の間に何らかの関連性があるのか無いのか非常に気になる。2024/04/08
しんかい32
0
自由主義においては、「契約」は共同体の外部にいる他者との間で結ばれるものであり、共同体的なルールを超える存在とされている。しかし、それは本当に正しいのか。契約を結んだもの同士があらたに共同体を形成する側面もあるのではないか。法学は門外漢には近寄りがたい存在で、とくに民法はチマチマして面白くない印象があるのだが、本書は哲学や経済学の話題にも踏み込み、じつにスリリングな民法論を展開している。文章もわかりやすいので、法学に詳しくない人もぜひ。2010/03/15