出版社内容情報
秘密取引による公正な競争の阻害が非効率を生み、発展と成長を損なう。タックス・ヘイブンは富の集中度を高め、期待される政策は税不足で実行できず、人びとの幸福を奪う。脱税より恐ろしい秘密主義の弊害が本書で明らかに。
内容説明
タックス・ヘイブンでの秘密取引による公正な競争の阻害が非効率を生み、経済発展を損なわせる。脱税より恐ろしい秘密主義の弊害が本書で今や明らかに。パナマ文書の暴露を受け、課税当局の動きもある中、独自調査による秘密度指数ランキング、金融資本主義の実態を見据えた提言は必見。
目次
第1章 タックス・ヘイブンの物語
第2章 秘密主義の問題
第3章 タックス・ヘイブンとは何か
第4章 タックス・ヘイブンの世界
第5章 タックス・ヘイブンのコスト
第6章 タックス・ヘイブンに立ち向かう
第7章 タックス・ヘイブン後の世界
著者等紹介
マーフィー,リチャード[マーフィー,リチャード] [Murphy,Richard]
イギリスの公認会計士。「コービノミクス」の立案者とされる。2015年にシティ大学ロンドンの国際政治経済学科の実務教授に就任
鬼澤忍[オニザワシノブ]
埼玉大学大学院文化科学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒデミン@もも
46
ゼミの課題本。自分の担当第3章。作者のマーフィー氏は公認会計士なので、税法の説明が細かい。他国の法人税、二重課税よくわからなかったが、企業のCSRは、どうなのか? イギリス国民のように 一人一人がステークホルダーとしての意識を高めないといけないのかな。2018/05/11
garth
9
タックス・ヘイブンの最大の問題は税逃れよりも秘密主義であり、それゆえ守秘法域と呼ばれるべきであること。その意味ではアメリカや日本(!)なども重要なタックス・ヘイブンであるとする。2017/11/08
GASHOW
6
タックスヘイブンといえば、ケイマン諸島やパナマが思い浮かぶ。実態の無い秘書サービスの会計士版だ。大きなお金が動いているようだが、街並みは貧しい。それもあるようだが、実際はアメリカもなかなかのタックスヘイブンな州があるようで年間200万社もできるという。節税による税収のとりっぱぐれよりも保有者の秘密を守る行為が不正行為を隠したり、企業の実態がみえにくくなることの弊害が大きい。経済の根底には信用が必要だが隠されることでそれが失われる。マネーロンダリングで「闇社会とのつながりも深くなり、たしかに経済を破壊する2017/11/08
vonnel_g
3
タックスへイヴンとはいかなるものか、大企業の税金逃れがどんな弊害をもたらすのか、対策は、から、なくなった後はどんな世界が?という予想まで、実際にタックスへイヴンの調査を行っている著者ならではの知識満載の書。大企業による不正な蓄財が「控えめに見積もって」開発途上国への援助と同額程度というのに驚く。マン島やバミューダ諸島にオフショア企業がある理由を初めて知った。そういえばパナマ文書のその後の報道ってほとんど出てこないけれど、あれどうなったんでしょうねえ。2018/03/24
Masako3
2
★★☆ 英国の公認会計士による著作。実際にタックスヘイブンに対する取り組みにも参画した経歴があり、信念を持った提言に満ちている。エリート達が必要悪と認めており、換骨奪胎した政策で対応してきたように見せかけている。また、マン島やバミューダなど誰でも独自の挙げられる僻地の諸島よりも、秘密主義を少しでも有し経済規模が大きく国、アメリカ、イギリス、そして日本やドイツまでがタックスヘイブンであるという指摘は驚きだった。この本を十分咀嚼するには私の力が足りない。2018/01/25