内容説明
漢文体の自伝や日記に綴られた苦悩、漢詩における私意表現の展開、文人たちの自我意識の発露など、さまざまな表現の中に立ち現れる人間の姿と創作意識のあり様を追究することで、近世における文学現象の厚みを描き続けてきた著者の積年の論考を集成する。既成の枠組みに囚われない新たな近世文学像の提示。
目次
1 近世人の形象(林家の存立―林鵞峰の「一能子伝」をめぐって;元政―多情多感の行方 ほか)
2 “私”の表現(風雅の解体―私意と月並調の成立についての試論;賀茂真淵の和歌添削―自筆本『賀茂真淵評草廬和歌集』を通して ほか)
3 文雅と日常(江戸文人の武蔵野―原野から郊外へ;近世の文人サロン ほか)
4 近世と近代の重層(幕末の欧米見聞詩集―『航米雑詩』と『環海詩誌』;明治漢誌の出発―森春涛試論 ほか)
著者等紹介
揖斐高[イビタカシ]
1946年生まれ。東京大学大学院国語国文学専攻博士課程修了。日本近世文学専攻。博士(文学)。現在、成蹊大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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