内容説明
享保十三年、将軍ご所望の象が長崎の湊に着いた。象は陸路、異国の地を歩いて江戸城を目指す。「将軍様の象がやってくる!」瀕死の象を診る医師、象の糞を売る百姓、象を斬ろうとする京娘、象とともに去る茶屋女、象の錦絵を描く絵師、そして象と将軍吉宗―。象の歩く町々辻々にざわめき揺れる人々の心と人間模様を、ファンタジックに描く。
著者等紹介
薄井ゆうじ[ウスイユウジ]
作家。1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て、『残像少年』で第51回小説現代新人賞、『樹の上の草魚』で第15回吉川英治文学新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たくのみ
11
将軍・吉宗が招きよせた、ベトナムの二頭の象が、長崎から江戸まで歩いて旅をする。その様子を見物したり、迷惑したりする庶民の生活が活写されていく。メス象の死に触れた、獣医峰吉とおさよの兄妹の愛憎。団子屋源七と少女トシのもどかしい相互一方通行な愛。敵討ちと失踪した父の物語、半鐘さん。吉宗と家重の微妙な親子愛、千日手の解法、などなど。歌舞伎『象引』の公演で、すべての人物たちのその後が語られ、すべてを悟ったような象のモノローグで終わる所も、うーん、いいのです。2014/10/05
タビト
1
読みやすい文章で、物語も面白かった。その中でも、千日手の解法が一番好きです。2013/08/09
まるー1
0
享保の時代に遠く旅をしてやってきた象と象に関わった人達の話。中でも家重と吉宗の話が好きだなー。2010/12/09
紅雨
0
昔に、他の作品を読んだような覚えがあって。図書館で偶然見かけて懐かしく思い、やや新しい本作を借りる事に。享保の色々、像の色々。勉強になります。徳川家重、強烈に頭に残りました。2010/04/02
みしぇる
0
江戸時代に象がやってきた。 長崎の出島から江戸にやってきた。 いろんな人が関わっている。 つがいでやってきた象だけど、ひとりぼっちになってしまう。 ひとりぼっちと思っていた殿様は、殿様を大切に思う母上がいた。 愛情に気づくと人は変わる。
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