出版社内容情報
進化するがん治療の傍らで、保険や貯蓄があっても生活が追いつめられていく患者たちー。働き盛りでがんを患い、家族とともに経済的困難に直面した元看護師のドキュメントから、二人に一人ががんになる日本の「がん対策」の課題に迫る。
内容説明
進化しつづけるがん治療の傍らで、治療費の負担に悩む患者は少なくない。離婚して生活保護を受けるか、治療を断念するか。働き盛りでがんを患い、経済的困難に直面した金子明美さんも、辛い選択に揺れ動いた一人だった。やがて明美さんは、患者会を結成し、病身を押して自治体や国へ訴えていく―。がん患者の肉声から、患者が直面する「お金」の問題に迫り、二人に一人ががんになる時代、誰が医療費を負担すべきかを考える。好評を博したテレビ番組、「命の値段 がん患者、闘いの家計簿」に新規取材を加えて書籍化。
目次
1章 二人に一人ががんになる時代(金子明美さんの告白;二児の母、「余命三か月」と告げられて ほか)
2章 言い出せなかったお金の話(治療費の悩みはみな、抱えていた;アンケートから聞こえる悲鳴 ほか)
3章 誰が医療費を負担するのか(がん患者のための条例を!;「命の訴え」に対する自治体の答え ほか)
4章 命をとるか、生活をとるか(子どもたちの成長、自分の余命;先立ってゆく仲間 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐっち
31
がんの治療にお金がかかるんだろうなとは思っていたけど、こんなに切実にお金がないとは!38歳の主婦のがんの治療費で、子供のランドセルや公立高校の制服すらカツカツな生活。悲惨さを訴える話かと思ったら、がん闘病のなかで、がん患者の会をつくり、知事に国にがん治療の費用に関する改善を求めていくのがすごい。がんに障害年金がでるというのは広く知られてほしい。そしてこの本のもとになった放送から約10年、少しは改善されたのだろうか。2019/03/03
シュラフ
29
ここしばらくルポばかり読んでいるのは、小説という創作の世界に没頭してしまってよいのか、もっと現実社会について問題認識を持つべきではないかと思ったからである。主人公は二児の母として世間なみの生活をおくる39歳の主婦。そんな彼女の生活が突然のがん告知によって暗転。がんによる体調問題もあるのだが、もっとも彼女を苦しめるのはお金の問題。健康保険によって負担は一定なのだが、収入減によって貯蓄は底をつく。経済的困難により治療を断念すべきかという辛い選択にまで追い込まれる。公的扶助はどこまで必要なのか考えさせられる。2016/08/07
Humbaba
7
いくらお金をかけても助からない命はある。しかし、お金をかければ助かる命であってもそのお金が無いということも充分にあり得る。いつまで治療を続ければよいかが明確ではないからこそ、よほど裕福な人達以外はお金の心配がついてまわる。例え保険をかけていても、全てが賄われるケースばかりではない。2016/05/30
かぼちゃりん@花粉症はつらいよ
7
日本人の二人に一人ががんになる…か。がんに対する認識が、つくづく甘かったと思い知った一冊。がんという病気のことも、治療にかかるお金のことも、知らないことがたくさんありました。日本という国は、弱者に本当に厳しい国だねえ。一方で、法の網をかいくぐったり、うまく誤魔化したりして、甘い汁を吸ってる連中もたくさんいる訳で。完全に公平な、なんてのは幻想だとしても、「生きてていいのかな」なんて思わなきゃならない人がいるってのは……何とも情けない話ではありませんか。幸せって何だろうな……と、思っちゃいます。2011/12/10
SHINO
6
お金がない人には治療を続けられない、もしくは家族の負担を負い目に感じながら続けないといけないとゆう状況はもう少し、国のがん対策をきちんと整備してほしい。がん対策の予算が県別で差がでるのではなく全国どこに住んでいても同じようにしてほしいものです。ただでさえがんとゆう病気が本人やまわりに与える不安は大きいのだから2013/11/18
-
- 電子書籍
- 令和川柳選書 現場に嘘はない
-
- 電子書籍
- 太平記 第3巻 六波羅の巻