出版社内容情報
死にゆく人間にたいして,ひとはどのように振舞い,どのように向き合うべきなのか.本書は,パリ・フロイト派の精神分析医である著者が,緩和ケアの現場をになう医療従事者に向けて行った平明な講演の記録である.
内容説明
緩和ケアにおいて精神分析的アプローチがどれほど重要か、どのような実践的効果を持つかを平明にかたる。
目次
第1章 痛み、苦しみ、喪の悲しみ
第2章 不安の概念をめぐって
第3章 回復不可能な時期と終末期における意識的罪責感と無意識的罪責感
第4章 重症患者における退行とはいかなるものか
第5章 転移について
第6章 欲望する主体としての患者
著者等紹介
ルノー,ミッシェル[ルノー,ミッシェル][Renault,Michel]
1929年生まれ。精神分析家。ジャック・ラカンが創設した「パリ・フロイト派(EFP)」に参加し、この派の解散後は「フロイト精神分析協会(SPF)」に加わった。2000年には厚生大臣によって設立された「国民の全般的健康状態」という組織の「緩和ケア委員会」に属して活動を続ける
加藤誠[カトウマコト]
名古屋大学医学部卒。パリ第8大学精神分析学科DEA課程終了。国立東尾張病院、名古屋掖済会病院精神科をへて、現在、桜ヶ丘メンタルクリニック勤務
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感想・レビュー
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Z
4
著者はある時期までラカン派。正直「緩和ケア」を表だって取り上げているとは思わないが、プラグマティックな精神分析入門としてはかなり良書と思う。プラグマティックというのは平易な記述という意味でもあるが、終末医療ということ焦点当ててるのがいい。神経症なり精神病なりの治療は身近な話題ではないが、死という誰にでも訪れることにスポットを当てているため、不安や喪失感など、より身近(におきたくはないが)なテーマから精神分析の考え方が平易に語られる。タイトル代えて精神分析入門として読まれるようにして欲しいが、一先ず退行を肯2022/09/09