出版社内容情報
佐藤首相の密命を帯びて沖縄返還に関わる核密約交渉に当った若泉敬は、1994年に密約の経緯を明らかにする。その後は沖縄への慰霊の旅を重ね凄絶な晩年を送る。彼をよく知る現代史家が資料と聞き取りをもとに活写する、若泉敬とその同時代史。
内容説明
一九六七年から七二年にかけ、佐藤首相の特命を帯びてロストウ、キッシンジャー補佐官と沖縄返還に関わる「核密約」交渉に当った若き国際政治学者・若泉敬(一九三〇‐一九九六)。彼は九四年に著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を公刊し、国家機密の守秘義務を犯すことを承知で、有事核再持ち込みについての「秘密合意議事録」作成の全容を告白する。晩年は核持ち込みという“代償”を強いた沖縄への自責の念から、末期ガンの病躯をおして沖縄への慰霊の旅を重ね、仏門に帰依し、蔵書を焼き、家族と義絶する。若泉はなぜ密命を受任し、凄絶な生涯をたどらなければならなかったのか。現代史家が活写する、ある「国際的日本人」の同時代史。
目次
第1章 越前の片田舎から世界へ(一九三〇‐一九六〇)(篤農家の長男として;越前今立地方の風土 ほか)
第2章 一九六〇年代日米関係の激流へ(一九六〇‐一九六七)(アメリカ研究留学;オピニオン・リーダー会見記 ほか)
第3章 内閣総理大臣特使として(一九六七‐一九七二)(佐藤政権と「沖縄問題」;沖縄返還と核問題 ほか)
第4章 著述への決意(一九七二‐一九九四)(一九七〇年代の著述活動;東南アジア訪問と反日運動 ほか)
第5章 余命尽きるとも(一九九四‐一九九六)(沖縄県知事大田昌秀と若泉敬;後期戦中派の終焉―池田富士夫と若泉敬 ほか)
著者等紹介
後藤乾一[ゴトウケンイチ]
1943年東京生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、(財)国際文化会館理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポレポレ
文鎮
渓流
ひげおやじ