「沖縄核密約」を背負って―若泉敬の生涯

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  • サイズ B6判/ページ数 400,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000224031
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0023

出版社内容情報

佐藤首相の密命を帯びて沖縄返還に関わる核密約交渉に当った若泉敬は、1994年に密約の経緯を明らかにする。その後は沖縄への慰霊の旅を重ね凄絶な晩年を送る。彼をよく知る現代史家が資料と聞き取りをもとに活写する、若泉敬とその同時代史。

内容説明

一九六七年から七二年にかけ、佐藤首相の特命を帯びてロストウ、キッシンジャー補佐官と沖縄返還に関わる「核密約」交渉に当った若き国際政治学者・若泉敬(一九三〇‐一九九六)。彼は九四年に著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を公刊し、国家機密の守秘義務を犯すことを承知で、有事核再持ち込みについての「秘密合意議事録」作成の全容を告白する。晩年は核持ち込みという“代償”を強いた沖縄への自責の念から、末期ガンの病躯をおして沖縄への慰霊の旅を重ね、仏門に帰依し、蔵書を焼き、家族と義絶する。若泉はなぜ密命を受任し、凄絶な生涯をたどらなければならなかったのか。現代史家が活写する、ある「国際的日本人」の同時代史。

目次

第1章 越前の片田舎から世界へ(一九三〇‐一九六〇)(篤農家の長男として;越前今立地方の風土 ほか)
第2章 一九六〇年代日米関係の激流へ(一九六〇‐一九六七)(アメリカ研究留学;オピニオン・リーダー会見記 ほか)
第3章 内閣総理大臣特使として(一九六七‐一九七二)(佐藤政権と「沖縄問題」;沖縄返還と核問題 ほか)
第4章 著述への決意(一九七二‐一九九四)(一九七〇年代の著述活動;東南アジア訪問と反日運動 ほか)
第5章 余命尽きるとも(一九九四‐一九九六)(沖縄県知事大田昌秀と若泉敬;後期戦中派の終焉―池田富士夫と若泉敬 ほか)

著者等紹介

後藤乾一[ゴトウケンイチ]
1943年東京生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、(財)国際文化会館理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ポレポレ

4
年末に読了。今年は若泉敬にまつわる本を何冊か読んできたが、若泉敬本人を扱った本では、自分が読んだ中ではこの本が1番包括的かつバランスよくまとめられているように感じる。地球儀、地理にこだわり、ナショナリズムと国際主義、核戦略に向き合った人物。晩年の息子たちへの扱いはやや可哀想な感もある。公共に尽くす気持ちが強すぎると、時としてそれは周囲の人に対してエゴとして働くのかもしれない。潔癖さ、几帳面さと誠実さ、時としてエゴともなりうる熱意をもって精力的に日本外交に貢献したのかな。安保の国民コンセンサスを希求した人が2023/12/28

文鎮

1
09年、佐藤栄作元首相の自宅から、沖縄返還に関する「核密約」の極秘文書が発見された。本書では、合意文書が生まれた直後、文書の処理を尋ねられた佐藤元首相が、密使若泉敬にこう述べたとある。「君、あれはちゃんと処理をしたよ。」そして、発見されたのがそれだった。本書は、若泉と生前に関係のあった著者による伝記である。主に若泉敬著の『他策無カリシヲ信ゼムト欲ス』の解釈に拠っている。600pを超える文書を丁寧に読み解いた本書は、入門及び解釈の書として、わかりやすいもの。若泉教授の信念、人柄などが本書から滲み出ている。2015/04/06

渓流

1
2006年、大田と小泉の国会論戦を聞いて「他策ナカリシ・・」を読んで、若泉の生涯のことが気に掛かっていた。若泉の生の原稿を最初に見せてもらった後藤だけに、余人にはまねの出来ない、彼が係わった沖縄返還交渉の細かい部分がよく跡付けされているようだが、もう少し、彼の内面の描写が欲しかった。その意味では、終章の「余命いくばく・・」の章は悩める若泉の精神がビビットに描かれており読み応えがあった。政治学の先生が書く評伝であるからして、内面生活を描写するより、国際関係のかかわりの中での若泉の姿を描くのも致し方ないかな。2010/09/22

ひげおやじ

0
若泉敬の著作「他策・・・・」を読まなくてはいけないと思っています2010/08/30

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