出版社内容情報
第二次大戦中,ラジオを通じて国民を鼓舞し続け,「抵抗の象徴」として英国を勝利に導いたジョージ六世.吃音に苦しむ彼を名演説家へと変えたのは,植民地出の言語療法士ライオネル・ローグだった――.新発見の書簡・日記をもとにローグの生涯を描き出し,映画では語られなかった王との日々を甦らせたドキュメンタリー.
内容説明
第二次大戦中、ラジオを通じて国民を鼓舞し続け、「抵抗の象徴」として英国を勝利に導いたジョージ六世(一八九五‐一九五二年)。吃音に苦しむ彼を名演説家へと変えたのは、植民地出の言語療法士ライオネル・ローグ(一八八〇‐一九五三年)だった。新発見の書簡・日記をもとにローグの生涯を描き出し、王との日々を甦らせたドキュメンタリー。
目次
国王陛下万歳
「庶民の植民地人」
英国への航路
成長の痛み
診断
羽根飾りつき大礼服
嵐の前の静けさ
エドワード八世の三百二十七日
戴冠式の前夜
戴冠式のあと
第二次大戦への道
「オーストリア人のペンキ屋を殺せ」
ダンケルクと暗黒の日々
形勢逆転
勝利
最後の言葉
著者等紹介
安達まみ[アダチマミ]
1956年生まれ。聖心女子大学英語英文学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
179
映画を見て興味を持って読んでみた。やはり映画より深い話が含まれていて読んでよかったと思った。私も吃りが時たま出るのでジョージ6世に共感を覚えながら読めた。2014/10/27
藤月はな(灯れ松明の火)
99
実は『英国王のスピーチ』は観ていません。でもオーストラリア人の言語療法士と王族の身分や関係性という枠を超えた共闘と信頼の関係は素敵だ。そしてジョージ6世の責務への覚悟や妻の支えもあったからこそ、彼らのスピーチは英国人の心を撃ったのだろう。しかし、いつも華やかな兄と比較されていた、慎ましやかな人が突然、兄が自身の愛のためにバックれたから王位を継承されるって、地獄のような話だよなぁ…。後、司教の一言は善意と前王の批判も込めたものとは分かっていても明らかに余計で「要らん事、言わんといて!!」とハラハラしたり。2018/05/07
佐島楓
73
映画を観たのをきっかけに。吃音に悩まされた英国王ジョージ6世と彼をサポートした言語療法士ライオネル・ローグ。映画は国王に感情移入しやすいつくりとなっていたが、本作を読むとローグ氏も魅力的な人物であったことがわかる。時代背景や身分の違いなど関係のない奇跡のような交流があったのだ。二人はお互いを尊敬しあっていたし、もしかしたら戦友のような心持でいたのかもしれない。西洋の歴史に興味がある方にもおすすめできる。2017/06/09
花男
26
実話の感動作。 国王ジョージ6世がいかにこの一般的な市民である言語療法士を信頼していたか分かる。吃音が男性に多いのは社会的なプレッシャーによる理由も一理あるのだろう。 人生の核となる仕事をしたいものである。2022/07/10
キムチ
13
コリン・ファースのポスターが脳裏に浮かぶ。映画化のあとBSでも広まったエピソード共に 見られなかったので、原作かと思い読む。案に相違して、これは主人公のSTライオネル・ローグがジョージ6世と職務を越えて 温もりの心の交流があったことを物語る話である。 特に 大戦中の書簡のやり取りが載っており、心に染みた。写真でみると如何にも英国王らしい風貌、そしてローグも男前。極めて階級意識の強いこの国で2人の男が親しくなるといってもおのずから限界は想定できる。2013/10/26