内容説明
“内なる他者”をめぐる差別への欲望とは何か。柳田国男以降、差別にまつわるフォークロアが本格的に問われることは稀だった。だが、つねに批判されてきた民俗学的な知の系譜のなかに、ほそぼそとではあれ、差別のフォークロアの萌芽が埋もれている。天皇と被差別民の起源をめぐる問いとは?沖縄、東北の差別とは?先人たちの差別論にかかわる仕事を掘り起こし、あらたな思索を開く。
目次
第1章 差別のフォークロア(柳田国男―漂泊から定住へ;折口信夫―はじめにマレビトありき ほか)
第2章 王とヒジリの物語へ(ヒジリと毛坊主;流離する王の物語)
第3章 菅江真澄、白太夫の子孫の旅(真澄/白太夫の子孫として;東北から/移植された被差別部落 ほか)
第4章 異邦人のまなざしのもとに(美しき未開人の肖像;異質なるもの、汝の名は)
終章 内なる他者をめぐる断章
著者等紹介
赤坂憲雄[アカサカノリオ]
1953年東京都に生まれる。東京大学文学部卒業。東北芸術工科大学東北文化研究センター所長。福島県立博物館館長。専門は日本思想史・東北文化論。著書に『岡本太郎の見た日本』(岩波書店。第17回ドゥマゴ文学賞受賞、2007年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
10
民俗と差別の問題を扱う。「折口信夫のはじまりの風景のなかには、濃密なる差別の影が見え隠れしている。はじめての小説「口ぶえ」には、披差別のメタファーがくりかえし登場していた。はじめての民俗採訪記「三郷巷談」には、生地・木津に近い披差別部落にまつわるフォークロアの断片が拾われていた。…折口はその出自からして、差別された人々のかたわらにいて、かれらとともに在ることを、生存の欠かしえぬ条件としてかかえ込んでいた…そのホカヒビト論の基層に埋め込まれた原風景そのものとして、「口ぶえ」や「三郷巷談」は読み直されるべき」2022/03/15
ダージリン
0
差別の発生・構造はスリリングなテーマなのだが、何かを言い得る所まで近付けず、延々と周辺を廻り続けているようなもどかしさを覚えた。イザベラ・バードの「日本奥地紀行」から射返される日本像には新鮮な面白さがあったのだが。2012/06/10
2960
0
論考を集めて一冊の本として編んであるので、章ごとに文体や内容のトーンはそれぞれ異なる。そのため、一冊の書として気負って読むよりも、好きな章から着手して、それから徐々に読む範囲を広げるのがいいか。第4章と終章には、はっきりとは書かれていないが、著者自身が己の眼差しを厳しく問い続ける姿勢が見え隠れしている。この2つの章を読むだけでも、この書に込められた熱は感じられるように思う。2012/03/05




