愛しのグレンダ

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  • サイズ B6判/ページ数 212p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000221528
  • NDC分類 963
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ボルヘス、ガルシア・マルケスと並ぶラテンアメリカ文学の中心的作家、コルタサルの代表作。都市の闇、男女の営みにひそむ幼想と恐怖、エロティシズムを意欲的手法で書きつぐ作品は深い感動を呼び、小説の新しい可能性を伝える。

内容説明

短篇の名手と言われるコルタサル後期の短篇集『愛しのグレンダ』は、幻想性のなかにも人間のうちに潜む狂気や政治性を描き、現代を挑発してやまない。幻想と現実が入り混じるラテンアメリカ文学の魅力をたたえる小説集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

34
日常の断片と思いきや、いつの間にか狂気に呑まれていたという読後に襲われるコルタサルの短編集。短編も当時の思想や政治への批判が込められていて、そこから垣間見える暴力に慄然とするものが多い。表題作はなぜかジョン・レノンやイーグルスの『ホテル・カルフォルニア』の歌詞で「1969年以来のspiritがない」という意味が連想して思わず、背筋が粟立ちました。2013/12/05

ドン•マルロー

28
晩年のコルタサルは、枯れゆく文学の才を埋め合わせるように政治活動にのめり込んでいったという意見もあるが、そんなことは寸毫も感じなかった。むしろこれこそがコルタサルの真骨頂なのではないかと思ったくらいだ。行き過ぎた偶像崇拝の末路とも、群衆心理のおぞましさへの警鐘ともとれる表題作も良いが、最も印象的だったのは『ノートへの書付』。地下鉄の乗降客の数が一致しないことから、地下鉄内で暮らし、反乱を企てんとする闇の組織の存在を語り手は想像し危惧する。彼らの存在が読者のなかで明確な実存性を帯びることは言うまでもない。2016/07/26

三柴ゆよし

24
九冊の短篇集のうちのこれが八冊目。初期の切れ味はなりをひそめ、尖鋭ではあるものの曖昧な文章が延々と続くのはたしかにおそろしく人を選ぶ。この時期のコルタサル先生はすでにラテアメ文学の大家であるので、「吾輩くらいになれば、なにをどう書いてもOKなんですよ」というよくわからない境地に目覚めているらしく、なんとなくでしかわからないような暗示的な作品が多い。とはいえなんとなくわかるというのは私にとって結構おどろきなことで、これはコルタサル化が着実に進行している証であろうか。目指せあのドアの向こうまであとすこし……。2013/03/28

ドン•マルロー

23
いったい何度目の再読か知れないが、世の中には摩訶不思議なことに何度読んでも読み尽くせない書物なるものが存在し、そんなことをいうとボルヘスの砂の本が直ちに思い浮かぶが、それともまた違う何者かが本書には含まれているように思えてならない。いずれにせよ、強烈なインパクトを残すレメディオスバロの表紙にも負けず劣らず、言い尽くせぬ膂力をそなえた作品であることは間違いないだろう。2018/06/12

zumi

10
「ノートへの書付」がベスト。表題作も捨てがたい。解説から入るとネタバレになってしまうので注意が必要。2014/10/09

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