出版社内容情報
イスラム史上最大の神学者・神秘思想家ガザーリー.その振幅の大きな生涯を通して,宗教思想の原像に迫る.西欧の宗教改革にも比すべき転換期の11世紀―正統と異端,神秘思想と哲学が交錯する,可能性に満ちた混沌を探る.
内容説明
イスラム史上最大の聖法学者、神学者、神秘思想家ガザーリー。その波瀾と起伏に富んだ生涯が語る、イスラム宗教思想の原像とは何か。11世紀にイスラムは、西欧の宗教改革にも比すべき転換期を迎える。聖法(シャリーア)と聖なる共同体(ウンマ)を基盤とする古典イスラムの信仰は、政治的動乱と社会変革の波の中で、崩壊に瀕していた。形式化し空洞化した内面の“信”を、いかに甦らせるか。ガザーリーの軌跡は、この課題を一身に体現している。その大きな振幅と多面的な相貌は、イスラム宗教史の主要な潮流の発した源が、ここにあることを示していた。正統派神学者か、神秘思想家か、それとも哲学者か、いずれに力点を置いてその肖像を捉えるかは、描く者それぞれに具わるイスラム宗教史の遠近法を映し出す。最高の聖法学者としての地位をなげうった10年におよぶ思索と修行の旅の意味、そして哲学への内在的批判の過程を丹念に追い、イスラムを理解する上で逸することのできない宗教思想史の座標原点を描き出す。
目次
第1章 シャリーアとガザーリー(イスラム共同体の思想;シャリーアと救済;ガザーリーの法学観;ガザーリーの政治思想)
第2章 スーフィズムとガザーリー(スーフィーとしてのガザーリー;マッキーとガザーリーの修行論;ガザーリーの宇宙論;ガザーリーの来世観)
第3章 ガザーリーの神学思想と哲学(イスラムの正統信条;コーランの被造性;ガザーリーの偶因論;イブン=シーナーの創造論;ガザーリーの哲学批判;ガザーリーと論理学;神の予定と正義)
終章 神学と哲学の間(ガザーリーとアシュアリー派神学;ガザーリーは哲学者か?)
著者等紹介
中村広治郎[ナカムラコウジロウ]
1936年生まれ。専攻、イスラム学、宗教学、中東地域研究。現在、桜美林大学国際学部教授。東京大学名誉教授。Ph.D
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