「アラブの心臓」に何が起きているのか―現代中東の実像

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  • サイズ B6判/ページ数 206,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000220842
  • NDC分類 312.28
  • Cコード C0031

内容説明

「イスラーム国」の台頭、ガザ戦争、シリア「内戦」…なぜ混乱が続くのか。第一線の研究者が結集し、「アラブの心臓」の実像に迫る。

目次

序章 「混沌のドミノ」に喘ぐ「アラブの心臓」
第1章 エジプト―二つの「革命」がもたらした虚像の再考
第2章 シリア―「真の戦争状態」が必要とする「独裁」政権
第3章 イラク―民主化の蹉跌と宗派対立という亡霊
第4章 レバノン―「決めない政治」が支える脆い自由と平和
第5章 ヨルダン―紛争の被害者か、受益者か
第6章 パレスチナ―ハマース否定が導いた政治的混乱
終章 中東政治の実像に迫るために

著者等紹介

青山弘之[アオヤマヒロユキ]
1968年東京都生まれ。東京外国語大学総合国際学研究院教授。専攻は現代東アラブ政治、思想、歴史。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。ダマスカス・フランス・アラブ研究所(現フランス中東研究所)共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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かもめ通信

20
「あの辺はいろいろと複雑だから」などという言葉で片付けてしまいたくなくて読んでみた。総論として序章と終章で東京外大の青山教授が筆を執り、各章はそれぞれの国や地域の専門家が歴史や政治的背景を手がかりに情勢を読み解く「論文」になっている。難しすぎてなかなか頭に入ってこない部分もあったが、それでもエジプトの「革命」に抱いていたいくつかの疑問が解け、シリア情勢について常々ぼんやりと考えていたことが裏打ちされ、レバノンに対する認識が改まり、ヨルダンの歴史に目から鱗が落ちる……といった具合になかなかの収穫があった。 2015/10/07

かんがく

7
中東問題をニュースで耳にするが、正直何が起こっているかわからないという人にとてもオススメ。2014年に書かれた本なので少し古いが、「アラブの心臓」と呼ばれるエジプト・シリア・イラク・レバノン・ヨルダン・パレスチナの六か国について、それぞれの専門家が一章ずつ担当し、今に至る歴史と現代抱えている問題を解説している。一章につき30ページほどで文章も簡潔だが、その内容はとても濃い。どの章においても、中東問題を「宗教対立」と単純化してしまう解釈に批判的。2018/06/24

田中峰和

1
アラブの心臓と呼ばれる6国の紹介。エジプト、シリア、イラクは地図上でも目立つが、レバノン、ヨルダン、パレスチナは弱小だが、より興味をひかれる。アラブだからイスラム教徒中心というのは誤解で、レバノンはキリスト教徒が4割もいる。元々シリアの一部だったので、政党も親シリアと反シリアに分かれ、その影響を受けていたが、今やシリアからの難民が人口の十%に及ぶ。同じくシリアとイラクに隣接するヨルダンも難民の受入国。イスラム国が台頭し蹂躙するなかで、西側の緩衝国の役割が高まる。日本人人質の窓口を務めたのもヨルダンだった。2016/11/07

K

1
近年いつにも増して激動を見せる表題の地域について、各国担当の専門家が最新状況を踏まえて著したであろう論文集。研究報告のような感じで読みやすい。研究者であるがゆえに研究対象に対して親和的になってしまうのかもだけど、親欧米的な視点にどうしても偏りがちかつ単純化しがちな日本の一般的なニュース報道とは異なる視点を提供してくれて、この地域を大局的に見る上で助けになる本。功罪あれど、アサド政権が地域やシリア国内のパワーバランスの維持に一定の役割を果たしていたという指摘やその背景説明などは、特に目から鱗だった。2015/04/15

Moloko

1
この本は一部の研究者の説に沿った形でアラブの春からISILの出現を中心に描写した政治学の本である。既存の政治状況を宗派、独裁政権、独裁への抵抗者という安易かつそれこそ政治的なレッテル貼りを批判し、たしかに中東では宗派に囚われない政治の営みがあり、そのようなレッテルを前提にした欧米の政策の不当性・失策であることを数々のアクターの動きに根拠を置いて説明している。イスラム国の出現を宗派対立でなく、シリアのアサド政権崩壊を関係づけて述べていて一つの説だとは思う。ただアサド政権への規範的評価には異説があると思う2015/04/13

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