内容説明
二十世紀を代表する思想家テオドーア・ヴィーゼングルント・アドルノ。フランクフルトの裕福な商家に生まれ、モダニズムの精華を吸収して哲学と音楽に才能を開化させたこの早熟の天才の生涯は、多くの知識人たちとの交流に彩られている。クラカウアーやベンヤミンとの対話、シェーンベルクやトーマス・マンとの確執、亡命先の米国での共同作業から明らかになる僚友ホルクハイマーとの齟齬、帰国後の批判的言論活動と彼のメッセージをラディカルに受け止めた世代との対立、そして訪れる悲劇的結末…。危機の時代を共にした知識人たちの言説と膨大な書簡を効果的に使い、思想的・人間的な布置状況のはらむ緊張を浮かび上がらせることで、戦争と革命の世紀に生きた思想家の肖像を、立体的かつ批判的に描き出す。ポスト六八年世代のジャーナリストが、冷静な筆致で従来のイメージを刷新し、知的巨人を脱神話化した“政治的伝記”。
目次
期待に胸ときめかせて
教えを求めて
哲学と音楽
正義への厳しい要求―フランクフルト社会研究所
キッチュ、死、危機
コンステレーションを見ながら読む
不透明さ
亡命生活の始まり
すばらしい新世界
『啓蒙の弁証法』
シェーンベルク、ファウスト博士、ストラヴィンスキー
権威主義的性格と中間層の病理化
「ドイツへ戻った方がいいかもしれない」
フランクフルト学派
抵抗のメッセージ
学生たちとの葛藤
著者等紹介
イェーガー,ローレンツ[イェーガー,ローレンツ][J¨ager,Lorenz]
1951年生。『フランクフルター・アルゲマイネ新聞』文芸欄編集者
大貫敦子[オオヌキアツコ]
学習院大学教授。ドイツ文学・文化理論
三島憲一[ミシマケンイチ]
東京経済大学教授。ドイツ思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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さえきかずひこ
ひろゆき