内容説明
地中海の涼しい北風を受け、ヨーロッパ、アフリカ、アジアのはざまに生きたエジプト第二の都市の魅力は、カヴァフィス、フォースター、ダレルというヨーロッパ人作家たちによって描かれた。ロマンチックなアレクサンドリア像は、もはや過去のものなのか?この町に惹かれ続けてきた写真家と作家が、幻想と現実を映し出す。
目次
海
鏡の都市
冥界
街の断片
人びと
黄昏
蜃気楼
著者等紹介
中川道夫[ナカガワミチオ]
1952年、大阪生まれ。写真家。中平卓馬のアシスタントを経てフリー。著書に『上海紀聞』(美術出版社、1988年、写真の会賞)など。都市、建築と人の営みをテーマに欧州、中東、アジアを紀行し、個展、雑誌などに作品を発表。アレクサンドリア取材は1979年より継続
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年、帯広生まれ。作家、詩人。著書に『スティル・ライフ』(中央公論社、1988年、中央公論新人賞、芥川賞)、『マシアス・ギリの失脚』(新潮社、1993年、谷崎潤一郎賞)など。2004年よりフランスに在住。1970年代にギリシャで暮らし、この間に2度アレクサンドリアを訪れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
358
26cm×18.5cmの大型本。写真は中川道夫で池澤夏樹の文。取材は大半が1986年と2005年のもの。アレクサンドリアはヘレニズム時代以来、ひたすらにコスモポリタンな都市であり続けた。もちろん、今もそうだ。残念ながら未だ行ったことはないのだが、ぜひとも行ってみたい街のひとつである。もっと現代的な(ということは、やや無味乾燥な)都市を想像していたのだが、写真からはなかなかにアラビックでエキゾティシズムの横溢する街のようだ。そうしたオリエンタルな場面がことさらに選ばれていたのかもしれないが。2021/04/30
Toshi
10
正直物足りなかった。何かいかにも行きずりの旅人が撮った写真集で、タイトルにもなっているアレキサンドリアの風が感じられなかった。調度この写真が撮られた頃(80年代後半)カイロに住んでいて、アレキサンドリアにも行った。地中海を見て、コルニーシュを馬車で走って、痩せたウニを食べて、カイロとは違った解放感を味わった。多分日本から行ってしまうと、アレキサンドリアもカイロも同じようにしか感じないのかも知れない。2021/05/09
ポカホンタス
7
中川道夫の写真と池澤夏樹の文章。カヴァフィス理解のための資料として読んだ。国際都市であり歴史の荒波の中で翻弄された都市アレクサンドリアへのオマージュ。2011/04/23