出版社内容情報
大戦による「幸運」な債権国化と重化学工業の発展、先進国へのキャッチアップの足がかりを得た日本。二〇年代後半の恐慌、三〇年代前半の円安と政府需要による回復を経て、欧米に比して高い一人あたりGDP成長率を達成する。
内容説明
国際収支危機にあった日本は、第一次世界大戦によって債務国から債権国へ転換するとともに、輸入代替化が重化学工業の発展を促し、先進国へのキャッチアップの足がかりを得ることができた。戦後反動恐慌から金融恐慌・昭和恐慌と、相次ぐ恐慌によって落ち込んだ1920年代の日本経済は、30年代前半には大幅な円安と政府需要によって急速に回復し、1人あたりGDP成長率では欧米先針国を凌駕するにいたる。
目次
第1章 労働と人口 戦間期の労働市場・雇用関係・人的資本形成(労働市場政策の展開;社員の世界・職工の世界―雇用関係の日本的展開;中等実業教育を通じた人的資本形成)
第2章 金融 銀行業の産業組織と産業・企業金融(戦前日本の金融システム―選択的文献サーベイ;金融システムの長期的概観;銀行業の産業組織と「機関銀行」;銀行退出の波と金融システムの変化;金融システムの構造・機能・進化)
第3章 農業と土地用益 戦間期の農業と土地所有(日本農業と農村問題;都市の土地所有と不動産経営)
第4章 鉱工業 戦間期における産業構造の変遷と国際競争(工業化の深化と国際競争;産業構造と動力・エネルギーの変遷;グローバリゼーションの進展と日本の鉱工業;農業部門と関連した工業部門の勃興;産業構造の変化と国際競争の激化)
第5章 商業とサービス 戦間期の商業と公益事業(世界貿易と日本;商業と海運;陸運業の展開;電力・ガス事業の生成と発展)
著者等紹介
深尾京司[フカオキョウジ]
1956年生まれ。一橋大学経済研究所教授。研究分野:マクロ経済学、国際経済学、経済史
中村尚史[ナカムラナオフミ]
1966年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。研究分野:日本経済史、日本経営史、鉄道史、地域経済史
中林真幸[ナカバヤシマサキ]
1969年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。研究分野:経済史、経営史、取引システム、比較制度分析
寺西重郎[テラニシジュウロウ]
1942年生まれ。一橋大学名誉教授。研究分野:金融論、日本経済論
宮本又郎[ミヤモトマタオ]
1943年生まれ。大阪大学名誉教授。研究分野:日本経済史、日本経営史
阿部武司[アベタケシ]
1952年生まれ。国士舘大学政経学部教授。研究分野:近代日本経済史、比較経営史
坂根嘉弘[サカネヨシヒロ]
1956年生まれ。広島修道大学商学部教授。研究分野:日本経済史、日本農業史
川口大司[カワグチダイジ]
1971年生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。研究分野:労働経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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