出版社内容情報
伝統宗教・伝統思想、宗教復興運動やこころに関する諸問題。第一人者が結集してその最前線を探究する!
内容説明
宗教と近代化・現代化との間の複雑に絡み合う関係を探究する。現代社会の全体像を把握し、新たな知の基盤を築くための挑戦。
目次
総説 宗教の現代性
1 世界の伝統宗教が映し出す「現代」(「世界標準」としてのキリスト教;イスラーム主義・宗派主義と暴力化;中華の復興―中国的な普遍をめぐるディスコース;宗教性からみたインド―存在の平等性にもとづく多様性の肯定;仏教のアクチュアリティ―伝統思想をどう捉え直すか)
2 「こころ」の変化は何を問いかけるか(現代社会における物語;精神の病が映す「こころのゆくえ」―統合失調症と自閉症;幸福な社会とよい社会;成熟社会における宗教のゆくえ―宗教復興か世俗化か;オウム真理教事件―二一世紀からの再考)
著者等紹介
大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年生。社会学者/比較社会学、社会システム論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
61
各テーマ10人の論者による、現代の宗教と精神医学などの論文集。個人的には、キリスト教はなぜ「世界標準」になったのか、河合俊雄による近年の心理療法の傾向・小さな物語化、島田裕巳によるオウム真理教事件の論考、現代日本社会の広義の宗教的な世界観についてなど。正直、興味がない分野だったり(近年のイスラム圏について)、興味があったがピンとこないものだったり(現代中国の中華覇権思想)(仏教の現代性)など。各論20ページほどで致し方ないと思うが。初めて古市憲寿の文を読んだ(幸福社会について)。2017/08/24
マウンテンゴリラ
2
特定の宗教を信仰しているわけではないが、宗教全般、特に日本の伝統宗教として、思想や文化として根付いている仏教には関心がある。しかし世間一般では、宗教には良くも悪くも常識からの逸脱といったイメージが付きまとっているようにも思える。悪いほうのイメージとしてすぐに思い起こされるのは、やはり国内においてはオウム真理教事件、国外ではイスラム過激派により繰り返されるテロ事件である。良い方のイメージとしては、物質面以外での人生の価値を示してくれるなどの精神的効用面であると言えるだろうか。→(2) 2017/05/31
numainu
1
評価C2016/07/15
林克也
0
この本を読んでも、意思を持って宗教を信じるという行為は、どんな大層な理論を弄したとしても、本人はそれと自覚していないとしても、結局は個人の快楽(救い、嫌なことからの逃避、面倒くさいことに関わらないようにすること・・・)を求めることなんだろうな、そういう行為が良いとか悪いとか、正しいとか間違ってるとかは別の話で、という私の考え方は、取り敢えず変わらなかった。さて、一昨日この本を読了し、昨日は久しぶりに東大寺法華堂に行って不空羂索観音や金剛力士像たち堪能し感動てきました。これは宗教だろうか・・・。2016/07/22