岩波講座 政治哲学〈1〉主権と自由

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  • サイズ A5判/ページ数 239p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784000113519
  • NDC分類 311.1
  • Cコード C0331

出版社内容情報

一六世紀に登場した主権概念により、政治・国家の性格は大きく変わった。しかし、伝統的な国家観や秩序観は消えたわけではなく、変容しながら主権論に対抗し続けた。主権論の位置づけの再検討は、近代的自由の再検討を迫る。マキァヴェッリ、ルター、サラマンカ学派、ボダン、ホッブズ、ロックなど、一六─一八世紀の主権と自由をめぐる熾烈な論争を概観する。

内容説明

一六世紀に登場した主権概念により、政治・国家の性格は大きく変わった。しかし、伝統的な国家観や秩序観は消えたわけではなく、変容しながら主権論に対抗し続けた。主権論の位置づけの再検討は、近代的自由の概念に再検討を迫る。マキァヴェッリ、ルター、サラマンカ学派、ボダン、ホッブズ、ロックなど、一六‐一七世紀を中心に、主権と自由をめぐる熾烈な論争を概観する。

目次

1 国家像の変容(マキァヴェッリ―自由と征服の政治学;ルターとカルヴァン―近代初期における身体性の政治神学;サラマンカ学派―「野蛮人」と政治権力)
2 主権国家の成立(近代自然法論―普遍的な規範学の追究;ボダン―主権論と政体論;ホッブズ―神、国家、科学)
3 自由の諸条件(イングランド革命期の政治思想―ピューリタニズムとリパブリカニズム;寛容論の系譜―イングランド革命期の苦闘;ロック―宗教的自由と政治的自由;デスポティズムと反デスポティズム―絶対君主政下における権力と自由)

著者等紹介

川出良枝[カワデヨシエ]
1959年生。東京大学。政治思想史・政治理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

18
鹿子生浩輝先生によると、マキャヴェリズムとは、目的のためには手段を選ばず権謀術数を弄する考えや行動とのこと(3頁)。松森奈津子先生によると、サラマンカ学派とは、スペインサラマンカ大を拠点に、トマス・アクィナスに範をとるトマス主義の伝統を受けついだ16、17Cの神学者、法学者の総称(51頁)。太田義器先生によると、グロティウスは15歳でオルレアン大から法学博士号を授与され、アムステルダムでは名誉学位であった(78頁)。早熟というか政治学の天才。2015/09/30

masabi

14
主権国家体制の秩序が揺らぐ現代の処方箋を探しに、同じく既存の体制と新体制とが政治秩序を争った中世の政治思想を見ていく。中心となるのは宗教戦争とピューリタン革命である。教皇を頂点とした宗教共同体に終止符を打った凄惨な戦争後も新たな宗教共同体の道を模索した。ピューリタン革命において、1つは内戦を避けるために主権を譲渡するホッブズの議論が現れ、一方で宗教相互の寛容を説く寛容論が登場した。寛容の概念は現代に至るまで拡張、多義化し、曖昧なものとなっている。2015/05/25

Haruka Fukuhara

7
田上正徳「ルターとカルヴァン―近代初期における身体性の政治神学」が面白かった。難しいけど政治神学って面白そう。「ルターやカルヴァンにとって、キリストの体とは宗教共同体の単なる有機体的比喩ではなかった、ということである。キリストの体を現実に共食共飲している人々が構成しているからこそ、そういう人々が作り上げている共同体もまたキリストの体なのである。『聖餐時に現臨するものとしてのキリストの体』を内円に、『教会としてのキリストの体』を外円に設定した同心円的な理解を、二人の改革者は採用しているともいえよう」2017/06/26

Moloko

5
岩波シリーズの一冊。最新の研究成果や動向を踏まえたもので、各テーマや内容は既存の視点とは別のものを採用して新規性あるものだと思うし、なかなか楽しめたと思う。個人の自由と国家、権力、秩序、宗教について、内戦と弾圧が普通であった時代のヨーロッパで学者達が戦わした議論について考えることは、今日の政治的論争にされる国家と個人の関係、良心の自由、国家と宗教の関係などの問題への示唆にもなるし、根拠として持ち出される古典的な学者の見解をより詳しく理解することは今日に流通する政治論評の質を見定めるのに良いと思った。2017/01/15

陽香

4
201403262017/01/19

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