出版社内容情報
武士の台頭,荘園制の進展にともなう土地と人との関係の変化,貨幣経済の進展,そしてそれにともなう人々の心性の変容――古代から中世にかけて日本はダイナミックな変化をとげる.11世紀後半の院政期から16世紀後半の戦国時代まで500年続く日本の中世の姿を,社会史研究,権門体制論などの到達点をふまえて描き出す.
内容説明
最新の成果にもとづく一新された日本史像。武士の台頭、貨幣経済の進展、人々の心性の変容―古代から大きな変化をとげる中世のはじまりを描き出す。
目次
中世史への招待
院政論
治承・寿永の内乱と鎌倉幕府の成立
鎌倉幕府論
荘園制と中世年貢の成立
武士団と領主支配
中世前期の村と百姓
鎌倉時代の仏教
中世前期の文化
著者等紹介
桜井英治[サクライエイジ]
1961年生。東京大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
9
図書館にて。上島亨「鎌倉時代の仏教」/ 一 研究史上の課題-鎌倉新仏教論と顕密体制論/1顕密体制論の成果と課題-二項対立の系譜 「旧仏教」「新仏教」という概念は中西牛郎『宗教革命論』(博文堂、1889)に初見、明治20年代以降に浄土真宗の学僧らに鍛えられてゆく。旧仏教がカトリックに、新仏教がプロテスタントに擬せられた。それを歴史学の概念として明確に位置づけたのが原勝郎。『日本中世史』(冨山房、1906)で日本史に中世という時期区分を導入、1911「東西の宗教革命」で法然親鸞らを西洋宗教改革に重ねた2022/02/12
Schuhschnabel
3
初年次ゼミで担当した上島論文以外読んだことがなかったので通しで読んでみた。日本中世史の研究を概観する桜井論文で指摘されている通り、論文によっていつから中世と呼ぶかが微妙に異なるのが興味深い。摂関期まで含む上島論文は例外としても、白河院制開始から頼朝の征夷大将軍任命まで約1世紀の幅がある。実質的な権力が移行しても、あくまでも天皇(経験者)が見かけ上のトップだったので、前時代の権威を否定する必要がなく、そのために時代の切れ目が不明瞭だからではないかと坂井論文を読んでいて思った。あと『愚管抄』を読みたくなった。2021/01/22
takeshi3017
2
岩波書店の歴史本第6巻。古代から中世に入って天皇の親政から保元の乱、平治の乱と源平合戦、鎌倉時代に突入するあたりの時代の事が書かれている。貴族の世からしだいに武家の世になり、幕府が成立するのもこの時代。鎌倉時代のはじまりを何年にするかなど論点も多い。編者の一人でもある桜井英治氏のいう「頭脳の古代、ロマンの中世、体力の近世・近代」という指摘は面白い。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou30306.html2021/03/21
こじこじ
1
中世前期に関する事柄を高校までの日本史よりも突っ込んだ内容(歴史学)で論じている。 研究史も整理されている。 日本史について学びたい際には触れておきたいシリーズだと思う。2021/11/14
スズツキ
1
平安~鎌倉を考えるうえで貴重な資料。2014/05/19