内容説明
シュレーディンガー方程式の解を原子スケールの分解能で可視化する。それが走査トンネル顕微鏡だ。いまや物理学の研究現場から産業界にまで広がるプローブ顕微鏡技術の原点でもある。原子1個1個を自由に操り、さまざまな物性の特色を調べ、新物質を創成する脅威の技術だ。その物理的な原理と技術のポイントを明解に解説する。とくに初学者には量子物理の基礎を、また実際に使う人には職人的なコツを伝えることを重視した。
目次
1 固体表面と走査トンネル顕微鏡(夢の顕微鏡の実現;固体と固体表面 ほか)
2 何を見ているのか?(第一原理計算とSTM像;波数空間を探る ほか)
3 原子を操る―原子操作技術(分子カスケード;ナノケミストリ ほか)
4 実験技術(世界のトップSTM;超高真空‐極低温‐強磁場STM ほか)
5 走査トンネル顕微鏡の将来像(観察対象の拡大;他の実験技術との融合 ほか)
著者等紹介
橋詰富博[ハシズメトミヒロ]
1957年生まれ。1986年東京大学大学院工学研究科物理工学専攻博士課程修了(工学博士)。現在、日立製作所基礎研究所主任研究員。東京工業大学非常勤講師(連携教授)、東北大学客員教授を併任。専門は、表面科学、走査プローブ顕微鏡、有機TFT
一杉太郎[ヒトスギタロウ]
1971年生まれ。1999年東京大学大学院工学研究科超伝導工学専攻博士課程修了(工学博士)。現在、東北大学原子分子材料科学高等研究機構准教授。専門は、固体化学、走査プローブ顕微鏡、酸化物薄膜(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。