内容説明
「若い人たちにお願いしたい。他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。敵対するのではなく、たがいに手をとり合って生きていくことを学んでほしい。われわれ政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい…」第二次大戦後40年を迎えたドイツで、対立を超え、寛容を求め、歴史に学ぶことを訴えた伝説的な演説があった―。好評既刊を、解説をリニューアルしてお届けします。
目次
ヴァイツゼッカー大統領演説全文―一九八五年五月八日
解説―若い君への手紙
著者等紹介
ヴァイツゼッカー,リヒャルト・フォン[ヴァイツゼッカー,リヒャルトフォン][Weizs¨acker,Richard von]
1920年生まれ。ベルリン、オックスフォード、ゲッティンゲンの各大学に学ぶ。在学中に第二次世界大戦でドイツ国防軍に従軍。戦後、復学したのち、実業界に入り、ドイツ福音派信徒大会で議長をつとめ、69年に連邦議会議員、81年には西ベルリン市場となる。84年から2期10年間のドイツ連邦共和国大統領在任中にドイツ統一の悲願の実現をみた
永井清彦[ナガイキヨヒコ]
1935年生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞社、ドイツ海外放送、タイム・ライフ社をへて、桃山学院大学・共立女子大学教授などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山口透析鉄
25
実は昔の岩波ブックレットを買いました。私のいた某私学の附属男子校では2外が必修で、ドイツ語を選択していて、高校3年生の授業にこれの原文が使われたのです(他はフランス語とロシア語で、フランスは3クラス、ロシア語は学年に20名くらい)。あんちょこ用にと駅前の書店に平積みされておりました。 ただ、そんな理由はともかく、大統領の演説は格調高く、内容も充実していました。失念してはならぬことをきちんと述べていて、政治家の言葉という意味では日本の世襲ボンクラ政治屋とはまさに月とスッポンでした。(以下コメント欄に)星5?2024/10/15
美海
23
ドイツの戦争責任についての本。授業内のレポート課題になったので読みました。短い文字数の中でドイツの戦争についての全容やこれまでの歴史を知ることができたので良かったです。訳や解説もわかりやすくドイツの戦争時代のことについて知識が高まったので良かったです。2015/12/28
世話役
21
哲人政治家、とでもいえばよいのだろうか。第二次大戦集結40年の節目の日、当時の西ドイツ大統領・ヴァイツゼッカーが先の大戦の責任を振り返った演説の記録。タイトルは彼が演説の中でも触れた旧約聖書の言葉だ。ヴァイツゼッカーは慎重に言葉を選びつつ、言葉に成り得ぬものを言葉として紡いでいる。その結果、彼は過去と「今ここ」を接続し、現在のドイツへと至る道を指し示すことに成功した。これはたとえ「言葉の技術者」である作家にも簡単には成し得ぬ技だろう。政治と、あえていえば文学の、2つの言葉の力を結晶させた稀有な例だと思う。2015/07/05
扉のこちら側
11
初読。1985年5月8日に行われた、西ドイツ大統領による第二次世界大戦についての歴史的な演説。「だれもが過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされている」「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる」。「過去の克服」論が「和解」ではなく「謝罪」をしたかどうかの言い合いになる日本への、警告とも読める。2012/07/22
Akie
10
日本人も含めて、国や人種間で争うことがどれだけ悲しくて情けないかたくさんの人に考えてほしい。こういう本には世界を動かす力があると思う。私の境遇的に演説の結びは他人事と思えず、本当ひたすら首を縦に振りたくなった。2015/04/05