内容説明
「ネットカフェ難民」が話題となったように、不況と貧困にあえぐ日本において若者たちの住環境が大きく変化している。どのような問題が生じているのか?「シェア居住」の紹介、国際比較、住宅政策など、若年層の住まいの全体像を分析し、解決策を提言する。
目次
第1章 若年層の住まいの全体像
第2章 様々な人々が混ざり住む「シェア居住」
第3章 若者の家族形成と住まいの国際比較
第4章 若者の住宅問題をどう解決するか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
31
住まい状況が暮らしに及ぼすインパクトは見過ごされている(32頁)。若者居住者にとって重要な関心事は、居住の安定の確保で、住生活基本法6条にある(67頁)。それも大事だが、雇用の安定が先だろう。非正規4割でもつのか? 2016/01/08
半木 糺
4
ネットカフェ問題が騒がれていた2008年に書かれた本。日本の戦後住宅政策が結婚し「持ち家」を持つことを前提としたものであったことを指摘。結果として家賃補助政策はほとんど行われず、公営住宅政策も低調に終ったことを記している。本書が出て10年経ったが、住宅貧困はいよいよ進んでおり、早急な対策が望まれる。なお、当時まだ目新しかったシェアハウスの取り組みを紹介している章があるが、地域社会との軋轢や同居人同士のトラブルをまったく考慮していないあまりに楽天的な論考でこちらは参考にならなかった。2018/06/18
ぴーたん
4
授業でシェア居住について扱うための資料として読みました。シェア居住を利用する若者はフリーターが多いのかと思いきや会社員の方が割合が高いそうです。また、利便性の高い都会に安く住めることや、家具や家電がある合理性、敷金礼金がないことなどメリットが多いとのこと。幾つかのシェア居住を間取りごとに説明しているので具体的で参考になりました。高校生に聞いたところ、一人が良いのでシェア居住はありえないという生徒から、人生一度はやってみたいという生徒まで様々。後半の若者のための居住政策も扱ってみたい。住居は人権なのです。2015/11/01
ichigomonogatari
3
現在日本において、社会的弱者となった若者たち。しかし、若者を対象とした住居支援・保証はほぼないことが、この本を読んでよくわかった。社会的自立に必要不可欠な住居を若者が得やすいように、公的支援を早急に整えるべき。最近空き家が増えていることが問題化しているが、うまく利用できないのだろうか。たとえば「シェア居住」などに。民間のほうが進んでいる気がするが、なんといっても公的支援が必要だと思った。支援があれば、我が家の息子も独立できる!2017/09/14
Mamo↑Hon
1
ビッグイシュー128号を読み、このような本があることを知り取り寄せた。親元を離れ、一人暮らしを行いたいと考える若者が、希望通りの生活を行えず、結婚も出来ない状態であることは大問題だ。しかし、単身者の負担にならない制度があれば、彼らは実家を出て、一人暮らしを始めるだろうか。また少子化問題も、年金制度や、国内総生産の維持、向上を図るもので、人口増加による環境破壊が深刻な現在では、逆に少子化である事の方が良いような気もする。パラサイトな生活が問題で、パラサイトでない親との同居は、幸せなのかもしれない。2021/03/19