出版社内容情報
岩波文庫版「漱石作品集」のうちから,小説およびエッセイと俳句を選び,愛蔵版とした.常に変わることなく日本人の心をとらえて離さぬ漱石の主要作品が,読みやすい大きな活字と美しい造本で,ゆったりと味読できる.
内容説明
女性というものに哲学的な懐疑をもつ一郎は、弟に対する妻の愛情を疑うあまり、弟に自分の妻と一と晩他所で泊ってくれと頼む。知に煩わされて、人を信ずる事の出来ない主人公の、苦悩と悲哀と、寂寞と、それにさいなまれる運命的生活が描かれる。漱石の実人生と作品との交渉が問題にされる作品。大正元―2年作。