出版社内容情報
憂愁に満ちた肖像画と奔放な裸婦像の完璧な造形と深い性格描写はいかに伝統と新たな様式のあいだの葛藤から生まれたか。
内容説明
哀愁に満ちた肖像画と奔放な裸婦像に込めた画家の思い。モデルの深い性格描写と人体の完璧な造形。その成立の秘密をルネサンスやロココ美術の伝統とパリの新たな様式の間の葛藤に探る。
目次
人間の表現者
パリでの出発
作家としての背景と訓練
彫刻家モディリアニ
ふたたび絵画制作へ
表現対象としての芸術家
距離を置いた人物表現
個人的な賛辞
装飾性への傾倒
ジャンヌ・エビュテルヌ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
61
モディリアニの作品をこんなにまとめて体系的に見たのは初めて。彼の絵のほとんどは(彫刻も含めて)、強い様式感を有しているので、一見しただけで誰にもそれがまさしくモディリアニであることがわかる。ところが、こうして年代順に見ていくと、1917年頃を境に絵のタッチや構図がたしかに変貌しているのだ。前者は、より印象派風、セザンヌ風、時にフォーヴ風であり、後者はそうした、いい意味でのラフさが抜け、概ねより流麗なタッチをとるようだ。モディリアニを描いた映画『モンパルナスの灯』では、画商を演じたリノ・ヴァンチュラが秀逸。2013/07/03