出版社内容情報
アートとは物として形をなすことのない概念でありうるのか。豊富な図版と明快な解説により世界各国での動きを詳しく紹介。
目次
コンセプチュアル・アートとはなにか
初期モダニズムにおける反芸術の姿勢―デュシャンとダダ
戦後の時代―絵画に代わって、絵画の外から
ニセで、過激で、冷静な―1960年代初頭のさまざまな現実
ほぼ脱物質化されたオブジェ―8つのコンセプチュアル・アート作品
頭脳警察は誰だ―コンセプチュアル・アートの多様性
権威の危機―政治と制度の文脈
おしまいか―コンセプチュアル・アートは崩壊または離散したのか
彼女たちはどこに?―女性コンセプチュル・アーティストの独自の経験
他者への眼差し―写真を使うアーティストたち
お前の名前は?―1980年以降、言葉を使うアーティストたち
スタイルを取り締まるのは誰か―最近のアートにおける論争と文脈
著者等紹介
ゴドフリー,トニー[ゴドフリー,トニー][Godfrey,Tony]
現代美術研究家、サザビーズ・インスティテュート(ロンドン)講師。1970年代よりさまざまなメディアに現代美術に関する論考を多数発表。Art in AmericaやThe Burlington Magazineなどにも定期的に寄稿
木幡和枝[コバタカズエ]
上智大学卒業。現在、アート・プロデューサー、東京芸術大学先端芸術表現科教授。P.S.1現代美術センター(ニューヨーク)東京代表
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
81
絶対に欲しくない糞の缶詰や、ビルを8時間も見続ける映画など作品化の否定としか思えない。そこには、アートが実体である必要はなく、概念(コンセプト)であればよいという考えがあるようだ。芸術とは何かを問うことを著者は《ダダの下剤作用》という。何らかの形や価値を残すより、「流してしまう」可能性をアートの根底に置くこと…そうした傾向は、キュビスムの「見ることへの自己批判」を反権威の方向へと転換したデュシャンに始まるらしい。コンセプチュアリズムの失速した70年代、自らの身体を取り戻そうとした女性達のアートが心を打つ。2019/04/28
℃
3
この本を読んで、コンセプチュアル・アートの延長線上として現代のアートを見るための視点を得られたような気がします。2013/12/02
takao
2
現代美術2023/07/07
ぐぐ
1
日本にこれだけ数多くのコンセプチュアルアートを紹介した本があるだろうか。 作品の意味をひとつひとつ丁寧に掘り出せている著者に脱帽した。 ちゃんと理解できたかは疑問だが、何度も読み返してもいいと思うし、作品だけ見直してもいいと思う。 非常に価値ある本だと思った。
shin
1
「現代」なのに現代芸術は一度死んだ。それでもコンセプチュアル・アートは芸術と非芸術の境界線上で、それでも作者のメッセージを載せてこの世に屹立している。背景を理解することで現代芸術の見方が変わる、かもしれない。2020/02/13